18 / 74

求都=モト

 「あっ、ぼくちん三角(みつかど)と申しましゅ……よろしくお願いいたしましゅ」 彼はテーブルに擦るくらい頭を下げた。 「じゃあ、モト……求める都で求都だから、よろしく」 あとさぁ、とおにぎりのビニールを外し終えて、三角……モトを見つめると、ゴクンと唾を大きく飲み込んだ。 「ご主人様ってなんかイヤだから、せめて『平太さん』って呼んで? 」 「平太しゃん……でしゅか」 なんか思ってたより柔らかい感じになった。  「ちょっと、さ・し・す・せ・そ言ってみて」 「しゃ・し・しゅ・しぇ・しょ」 「次はた・ち・つ・て・と」 「たぁ・てぃ・とぅ・てぇ・とぉ」 一生懸命に言ってるのに、上手く発音が出来ていないのが健気で可愛く見えてきて、おにぎり食べながらふふっと笑う。 「なんで笑うんでしゅか!」 ぷりぷりという効果音が付くくらいに頬を膨らませていたから、真顔で頬を掴み、潰した。 「かわいいからだよ……モト」 僕が軽く微笑むと、モトは平太しゃんと口を尖らせたまま、顔を真っ赤にさせる。

ともだちにシェアしよう!