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庇護欲
「あっ、あの……」
戸惑った声が聞こえたのも気にせずに、モトの頭をヨシヨシと撫でる。
「ぼくちん、優しくしゃれると……どうしたらいいのか、わからにゃく、なるんでしゅ」
力なく、バニラアイスみたいな甘さで話すモトに自分の中に庇護欲があることを気付かされた。
「優しくなんかないよ……ただ、サディステックな自分が出せないだけ」
「犬って言ってたから、昔飼ってた犬にこうしてたなと思って……違う?」
モトから離れながら顔を見たら、涙袋が大きい瞳は見開いた後、三日月状に細くなった。
「平太しゃんは面白い人だ……ドSの人にこのやろうを言う人はいにゃいからね」
モトは口も三日月状にしたから、口元のホクロが主張されてより魅力的に見える。
「怒鳴るとかいじめるとか思わにゃいで、ちょっとぶっきらぼうに言ってくれるだけでいいでしゅから」
「試しに……『奥まで飲み込め』って言ってくだしゃい」
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