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3日目

 今日は暇過ぎて、あくびを何度飲み込んだことか。 だからって、スギヨシ……うんちくをダラダラ語るのは違うだろ。 店長のカミナシも微笑ましそうに見守ってるし、ユキさんは無視して黙々と作業してたし。 「バイト……マジで辞めてやろうかな」 そんなことをつぶやきながら、客が来な過ぎたからいつもより早く上がり、大通りを歩いていた。 すると、派手な服装の人がひょこひょこひょことこっちへと歩いてくるのが見える。 いちごの帽子に緑のリュック、リーフ柄のワンピースに茶色のサルエルパンツ……どういうセンスなのか、わからない。  その人はいきなり上を見上げて立ち止まった。 振り返って空を見ると、上に薄い雲で下にモコモコと大きい雲があっただけ。 「別になにもないじゃん」 雨でも降ってくるのかと思い、手をかざしても雫1つ落ちてこなかった。 首を傾げた後に前を見ると、その人は脇に避けて、リュックから緑の板と黒と黄色のスケッチブックを取り出していた。 緑の板を広げたらなんと椅子になって、スケッチブックを開いてからそれに座り、ペンでさらさらっと書き始める。

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