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寝起きのサガ
「おはよぉ、おいで屋のサガですぅ」
寝起きだからか、この前よりも間延びしていて、ふわふわなサガの声が聞こえてきた。
「ごめんねサガ……起こした?」
申し訳ない気持ちから静かに声をかけると、んふふと柔らかい笑い声が聞こえた。
「大丈夫やでぇ、逆に心配で眠れへんかったくらい〜」
平太の方こそ大丈夫? と心配してくれるから、大丈夫だよと返すと、良かったぁとよりふんわりとした言葉をくれて癒される。
「ツクにはもちろんだけど、サガにもお金渡すからね」
本来は関係ないサガに迷惑かけたなと思って言ったのに、サガは恐いくらいの低い声で僕の名前を呼んだ。
「そんなんせんでええ……僕らは平太を癒したいだけやから」
わかった? と母親のように言うから、わかったと返すと、平太はええ子やねぇといつものふわふわの口調に戻った。
「僕はね、エッちゃんが選んだ子が平太で良かったと思ってるんよ……平太は本当に偉いなぁって」
「そんなことないよ。平凡な僕には友達も彼女もいないし」
いないというより、無意識に壁を作ってるというか……距離を置いてしまうみたいなんだ、と付け加えると、サガはまた、んふふと笑った。
「そこが好き……ちょっと淋しい時もあるけど、仕事の時はちゃんと受け止めてくれてるなぁって思ってるんやで?」
ありがとぉと言ってくれるサガに泣きそうになる僕。
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