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藍色と黄色
大きいリップ音を立てて離された後、キヨは切なげな瞳を僕に向ける。
「アホ……勘違いし過ぎやで、自分」
穏やかな声で言って、僕の右頰を優しく撫でるキヨ。
「嫌ってんちゃう……むしろ感謝してんねん」
キヨは初めて微笑みを浮かべる。
「おりぇの好きな物を作ってくれて、おりぇの大切な人を助けてくれたペーターを嫌いになるわけないやんか」
大事そうに話すキヨに、僕は紙袋の色合いの意味がわかったと同時に何気なかったサガとのやり取りを思い出す。
『黄色い鳥ばっかじゃん、サガ』
『あっ、ほんまやねぇ……やっぱ好きやからなぁ』
あの後に渡されたタブレットのカバーもエプロンも藍色だった……サガとキヨって、そういう仲なんだ。
「そやから、ペーターになら全てをさらけ出すって決めた……抱いてや」
「えっ、でも……「分福はペーターならええよって言ってくれたし、ほんまにええ子やったから……大丈夫やで」」
僕はそれでも躊躇していたら、また口を塞がれ、蕩けるように何度も食まれた。
「おりぇ、ネコやから……やり方ちゃんと教えるから抱いてぇな」
キヨに色が見える瞳で見つめたまま言われたら、僕はうなずくことしか出来なかった。
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