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根切マニ
これから行くのはとっておきの場所だとだけ言われて目隠しをされた僕は支えてくれているエツの言われた通りに歩いていく。
大丈夫、大丈夫と声をかけてくれているし、包まれるように支えられている温もりで怖さは不思議とない。
「おや、新しい犬を飼われたのですか?」
いらっしゃいませの次にそんな声が聞こえてきて、来てはいけないところに来たかもしれないと思う僕。
「まだお試しやねん……でもキュートやろ、この豆柴」
そして、根切さんは雑に僕を撫でる。
実は豆柴について調べてみたんだけど、確かに性格は僕と似ていた……悔しいくらい。
だから、それに対抗するようにくぅ〜んと可愛らしく鳴いてみた。
「お前、ほんま……かわええやっちゃな」
今度は髪が乱れるくらい撫でるから、失敗したなと思ったけど、ちょっと嬉しかった。
そこからちょっと歩いて、エレベーターなのか体感時間が3日くらい立ち尽くして、また歩いていく。
「着いたから、外してやりぃ」
強引座らされ、いきなり光が入ってきたのが眩しくて目がぼやける。
だんだん見えてきて辺りを見回すと、街が一望できる大きい窓に、お姫様のようなキングサイズのベッド、奥にリビングのようなソファが並び、シャワールームもキッチンもある……まるで大金持ちのお家だ。
「ここはヤるだけの部屋や……今日はユーのためにセッティングしたわ」
「そんな、ダメです。新一さん」
僕のためになんかと続けようとしたら、顎を掴まれ、無理やり顔を上げられる。
上げた先に見えたのは真剣な瞳と金歯が上に開いた口だった。
噛まれると思って目を閉じたら、鼻に柔らかいものが当たった。
鼻にキス……意味は愛着、かわいいペットだと思われている。
驚いて目を見開くと、大きい手で荒々しく頭を撫で、八重歯か見えるくらい笑う根切さんがいた。
「Please give me a nickname.」
それはあまりにも綺麗な発音だったから、英語にちなんだ名前にしようって思ったんだ。
「 Mani……真の仁義で真仁 」
お金からやんかと笑うエツにそれもあるけどと続ける僕。
「As says God……Can you see?」
なるほどなとエツはつぶやいて根切さんに耳打ちをすると、グレイトやと優しく微笑んでくれた。
この瞬間、根切新一は根切マニに変わった。
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