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おそろとツンデレ
談笑しながらアサイージュースの飲み終えた頃にまたピンポンが鳴った。
何度も鳴らすからは〜いと声をかけながら玄関に向かい、ドアを開けると、誰かに抱きつかれた。
「はぁ、かわいい……食べてしまいたい」
甘くて低いイケボが聞こえてきて、主がサガだということがわかった。
「分福、隣のおばさんがびっくりしすぎてビニール袋床に落としてもうてりゅわ」
「あっ、ごめん……我慢できへんかった」
やっと離れてくれたサガは本当に同じ髪型の同じ髪色で黒い丸耳を付けていた。
「おそろぉってこんなにええんやねぇ」
ふふふと笑うサガはやっぱり綺麗な顔をしているなと思う。
「おりぇもおるからな」
そう聞こえたから、右側を見ると、右手を上げてよって言うキヨがいた。
キヨは黒の中に赤が入っている尖った耳の帽子みたいだ。
「僕のために来てくれたんだ、キヨ。ありがとうね」
「別にペーターのために来たんちゃうし、仕方なくやし」
ぶつぶつ言う割には耳まで赤くなっているキヨはやっぱりかわいいな、と今なら思える。
もしかしたら、僕が勘違いしたあの時もかわいい表情をしていたのかもしれないなって考える余裕が出来たから……確かに成長してるよ、僕。
「ちょっと、はやいんじゃないの?」
「2人で平太しゃんを独り占めなんてズルいでしゅよ!」
「お前らも中に入れよ、クソ」
中にいた3人もそう言いながらやってきたから、賑やかになる。
「だってさ、ボスが待ちくたびれ過ぎて金歯と八重歯光らせながら火を吹い散らかしてんやもん」
「南の歯ぎしりと貧乏ゆすりもヤバいわ」
それを聞いた3人は顔を真っ青にして、中へと戻っていった。
「マニとエツまで来てるの?」
僕が聞くと、2人は駐車場を指差す。
そこにはど真ん中に黒くて長いリムジンが止まっていた。
「エッちゃんは今日運転手ちゃうから、ほんまはめっちゃ機嫌ええんやけどね」
なんて言って舌をペロッと出すサガにやられたなと苦笑いをした。
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