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水精霊マール1

皆黒に自宅謹慎を言い渡されたソルは、 ひたすらリビングの窓辺に張り付いて、窓を見つめていた。 (ここから見ていたら、河にマールがやって来るのが見えるかもしれない) そんなソルの気持ちを察した皆黒が、不愉快そうに眉を寄せた。 「…おい。お前はいつまでそうやってる気だ。いい加減に窓から離れろ」 「なぁ、どうしてあの子は河に来ないんだろう。まさか、彼になにかヒドイことをしたんじゃないだろな、皆黒」 「オレのせいにするな」 皆黒は苦虫を噛みつぶしたような顔で、ソルを睨みつけた。 「水精霊は、水のあるところならどこにでも行ける。この河以外にもあちこち移動しててもおかしくないだろ。…お前こそ、嫌われるようなことを何かしたんじゃないのか? ん?」 からかうように言われて、ソルが困惑した。 「別に、…なにも。…――オレは、なにも、…しなかった」 陽王を助けてくれたお礼も言えなかったし、 彼の身体からポタポタとしたたる水滴に怯えてしまって、 …マールを傷つけた――。 (せめて、あの虹色の小鳥だけでも来てくれたら…) そんなことを思いながら、 ソルは窓辺に寄り添って数日を過ごすハメになった。

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