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恋火4
「ルイードって?」
首を傾げたソルの仕草に、マールがおかしそうに目を細めた。
「ルイードは川のほとりにいる巨木の精霊だよ。こないだまで枯れそうだったけど、近ごろは生気を取り戻したみたいで、よくお喋りしてくれる」
「へぇ、」
「あの鳥はルイードの枝葉に住みついてる鳥だよ。死にかけてたのをルイードが元気にさせたんだ」
「…ルイード、ね」
ソルは呟いた。
今の昔も、ソルは《人》以外の《なにか》とあまり接点を持ったことがない。
動物も、植物も、火精霊を好むことがなく、
大抵は《人間》の所有物として使役されることが多いからだ。
「会ってみたいな」
と言うと、
「ムリだと思う」
マールはすぐさま首を振った。
「ルイードは僕以外の誰とも会わない。人がキライなんだ」
「オレは人じゃない」
「でもムリだと思う。ソルのことも『信用するな』って言ってたし。たぶん怯えてる」
「…それは、なんとなく分かるな」
「わかるの?」
「皆黒は性格が悪いからな! そういうの精霊なら分かるんだろ」
「君の話をしてるんだけどね?」
マールは声を上げて笑ってしまった。
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