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とある夏の日4

川上にたどり着いても、河はどこまでも干からびたままだった。 「…どこまでこんな状態が続いてるんだ?」 山の近くまで歩けば、さすがに水が残っているだろうと思っていたのに、 さすがに不安が募ってくる。 かといえ、このまま家に戻る気にもなれなくて、 ソルは辺りを探りながら、水がありそうな場所を探した。 さらに上流から奥へと歩き続けて、しばらく経った頃。 ソルは、ようやく水が湧いた場所を見つけた。 ――『河』と呼ぶには程遠(ほどとお)いが、 それでもわずかに水が残っていることにホッとした。 「…マール!」 ソルは、大声で彼の名前を呼んでみた。 「マール! いないのか?! いるなら出てこい!マール!」 ――しかし、返事はない。 辺りはしんと静まり返ったまま、 時おり吹く夏の風が、ソルの体を消し去ろうとしている。 「っ、」 強い風に当たり、ソルはぶるっと震えた。

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