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とある夏の日9
「どうもありがとう!」
「源泉は無事だったから、そのうち河は復活するはずだ」
「…ソルは? ちゃんと戻ってくるかな」
「別に死んだわけじゃないから問題ない。暖炉には火種が残っているから、あとでソルを呼び出してみる」
「お願いします」
ぺこりと頭を下げ、水中に戻っていこうとした彼を、皆黒が呼び止めた。
「虹駆」
その声に、マールははたと振り返った。
「え?」
「虹駆 、――その鳥の名前」
「…」
マールは、ぽかんと口を開けた。
(もしかして、ここに戻ってくる途中、ずっと考えてくれていたのかな)
そう思うと、胸がふわりと温かくなった。
「すごくいいよ! ステキな名前だ! あなたなら幸せになる名前をつけてくれるって!ソルが言ってた通りだ!」
ありがとう、と片手を振って、マールがにこやかに河へと戻って行く。
その様子を見つめながら、
皆黒は、やはり不機嫌そうに水面の波紋を見つめていた。
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