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ソルの言い訳1
――あれから3日。
皆黒によって再び息を吹き返したソルは、ここ数日ずっと暖炉に引きこもっている。
いつもなら夜明けと共に真っ先に河に向かうくせに、
マールに会いに行く様子もなく、
ソルは、まんじりともせず炭火の狭間に漂っている。
「おい。今日も、あの水精霊が来てるぞ」
皆黒は、窓の向こうを見ながら呟いた。
「毎日毎日ご苦労なことだ。お前が出てくのを今か今かと待ってるんだ。可愛いもんじゃないか」
「うるっせぇ」
「なにを拗ねてるんだ?」
「拗ねてないっ」
「じゃあ、何を怒ってる?」
「…っ。おお、怒っても、ない…っ」
ソルは気まずそうに震える声を発した。
窓の外を見つめていた皆黒が、
「おっ」
と、大きな声を発した。
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