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ソルの言い訳4
しんと静まり返った室内で。
皆黒が、面倒くさそうにちらりと暖炉を垣間見た。
「…おーい、帰っちまったぞ」
のそりと姿を現したソルが、暖炉の中で心地悪そうに顔をしかめている。
「追いかけなくていいのか?」
「…別に、」
「まったくお前ときたら、ホント子供だな。このまま大切な友人を失ったらどうする気だ」
「お前が言うな。誰のせいだと思ってる」
ソルはじろりと皆黒を睨みつけた。
「はは!オレのせいか?バカ言うな。元はお前が素直にならないからだろ。なにを怒っている」
「お、怒ってない…っ」
ソルは困惑ぎみに俯いた。
「オレは衝動的で感情的で…っ。いつかマールを、この世界から消してしまう気がする…、――それが、なんか、怖くて…」
「逆だろ? 先にお前の方が、あの水精霊に消されてしまう可能性があるけど。…どちらが恐ろしいだろう。…消すか、消されるか…?どちらがツライかな」
皆黒が、にかりと笑う。
「…っ」
ぐっと喉を詰まらせて、
ソルはなにかを決意したように暖炉から飛び出していった。
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