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皆黒とルイード2
今はまだ日が高い。
しかし、あっという間に夕暮れになるだろう。
この時になって、自分がランプを持っていないことに動揺した。
「マズイな…。やはりソルを連れてくるべきだったか。…いや、でもなぁ」
あの2人のことだから、今頃2人きりでイチャイチャしてるに決まってる。
皆黒がいないことを良いコトに、放っておけば夜中まで喋り倒していることだろう。
――この森をすべて焼き尽くす力を持つ火と、
――この森をすべて沈めるの力を持つ水。
そんな2人に幸せな未来があるとはとても思えないが…
彼らと共存する《人間》もまた、似たようなものだ。
「直接触れるわけでもない、お子様みたいな、幼稚な恋。…それでも、やつらにとっては世界の全てなんだろうなぁ」
森の中をさまよい歩きながら、
皆黒は薪を集め終わると、屋敷への帰り道を探した。
適当に歩いていればなんとかなる、と思っていたが、
さすがに過酷と名高いシュヴァイケルンの森の中では、そう簡単にはいかないらしい。
「さて、どうしたものか、」
道なき道を歩き進みながら、
これはいよいよマズイことになったと思案しながら、
小さな水たまりを端に避けて飛び跳ねた。
その直後、
ずるりと足元が崩落し、身体が斜めに傾いた。
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