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機嫌が悪い
「んっ、ん…はぁ…」
「真守、悪い」
「あっ、あ!い、いく、待って、イクッ…!」
燈人に抱きつくと肩を思い切り噛まれて、体が大きく震えた。ペニスから溢れた白濁が腹を汚して、肩で息をする俺を燈人が優しく撫でる。
「まだ付き合って」
「ぁ、あ…待っ───ッッ!!」
その後、燈人が満足するまで、たくさん愛された。
目を覚ましたのは真夜中で、燈人に抱きしめられている。片付けはしてくれたみたいで、体はスッキリしていて、燈人の顔に手を伸ばして、頬に触れると目を薄く開けた。
「ぁ、ごめん…。起こしちゃった」
「…いい。それより、悪かった」
「ううん。元気になったならいいよ」
「…ちょっと、疲れた」
「うん。じゃあ休もう。あ、片付けありがとうね」
そう言って燈人の頬を撫でて、笑うと燈人も薄く笑って、目を閉じる。しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきて、安心した。
何にそんなに疲れたんだろうって気になるけど、聞く気は無い。燈人から話してくれるのを待っていようと思う。
翌朝、燈人より早く起きてご飯を作っていると、フラフラと寝室から出てきた燈人が、俺を後ろから抱きしめてきた。
「真守、おはよう」
「うん、おはよう。待ってね、もうご飯だから」
「…昨日の事なんだけど、大した事じゃない」
「そう?ならいいけど…無理しちゃダメだよ」
「早く帰りたかったのに、羽島が仕事持ってきて帰れねえし、せめてお前に会いたいつって連絡しようとしたら、親父が出てきてさっさと終わらせろって言うし…」
「へえ?」
ご飯を盛り付けながら燈人の話を聞いていると、本当に大したことは無かったらしい。心配した意味がなかったな。
「なあ真守」
「何」
「トマト嫌だ」
「…子供か。食べなさい」
「……少なくしてくれ」
「わかったよ」
でもやっぱり疲れてるのは疲れてるらしい。少し甘えてくる様子は可愛くて嬉しいけれど、そんなに疲れてるなら休ませてあげたい。
「今日仕事は?」
「ない」
「じゃあ一緒に休もうね。はい、これ持って行って」
「ん」
何でもないこのやりとりが心地よかった。
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