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揺れる

スーツに身を纏っている自分、それはよく見る姿なのに何故かすごく緊張した。 事故だったらしい。 最近は量のすごい雨が続いていた。雨でスリップした車が横断歩道を歩いていた親に衝突したとか。 それを聞いた時は最低だとは思うが、特に何とも思わなかった。俺のことを捨てたんだ、だから神様に捨てられても仕方ないだろうって。 葬式の行われる会場は意外にも両親は友人が多かったようで、人で溢れていた。 親戚がそこにいて俺を見ると涙を溢れさせる。 「命くんじゃない」 「…おばさん」 シワが増えている。顔が辛そうに歪んでいておばさんを見るのが苦しい。 「ずっと、会ってなかったんでしょう…?最後にお別れの挨拶をしてあげて。」 長い列に並んで短い最後の挨拶を終わらせた。 会場の端っこにいるとおばさんが一人の小さい男の子を連れて俺のところにやって来る。 「命くん、あのね、紹介したい子がいて…」 「はい」 「…この子、貴方の…弟、なの」 「…は?」 一瞬時間が止まった。おばさんと手をつないでいる男の子、この子が弟…? 「(れん)って言うの。」 「…蓮」 俺が名前を呟くように言うと蓮は顔を上げて笑う。 「お、お兄、ちゃん」 そう言われた瞬間ぐらり、視界が揺れたように感じた。 「この子、うちで預かってもいいんだけど…先に貴方に会わせてあげたほうがいいと思って。それからはこの子に今後を決めさせてあげたいの」

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