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揺れる
その日の夜、携帯に電話がかかってきて、画面を見ると未登録番号で、もしかして蓮かな?と思い電話に出ると予想通りだった。
「お、お兄ちゃん…?」
「ああ、どうした」
「僕、お兄ちゃんと、一緒がいい…」
そうか、お前はもう決めたのか。
「わかった。」と一言返してユキを見ると不思議そうにこっちを見てる。
「おばさん、いるか?」
「うん、いるよ!」
「代わってくれ」
「はーい」
「おばさーん!」と蓮の声が聞こえる。少しすると「…もしもし?」と声が聞こえてきた。
「命です。…蓮の事なんですが」
「蓮くんね、あなたがいいって、よかったら蓮くんを預かってくれないかしら」
「……少しだけ、時間もらえますか?」
「わかったわ、連絡待ってるわね。」
電話を切ってふぅ、と息を吐く。「だぁれ?」と言いながら俺の方に寄ってきたユキを抱きしめて「大切な話がある」と言うと困ったように頷いた。
「弟がいるんだ。昨日、初めてそれを知った。昨日ここにいたのはそいつだ」
「命の、弟…?」
「ああ、蓮って言ってな、お前より4つ年下。」
「僕の方がお兄さんだ!」
ふふっと笑ったユキにそうだな、と笑い返す。
「でな、俺の親…だから蓮の親が死んだんだ。」
「え…」
「突然、死んじまってさ、蓮は…家がなくて、兄弟の俺と一緒に住みたいって言ってる。」
「い、一緒に…?蓮くんが、ここに、住むの…?」
「そうだ」
不安そうな顔をするユキに「嫌か?」と聞けば頷いたのか首を振ったのか、わからない仕草を取られて思わず笑ってしまう。
「蓮くん来たら、命とチュー、できない?エッチ、できない…?」
「今よりはできねえだろうな」
「うぅ…お風呂、お風呂は?眠る、時は…?一緒にいれる…?」
「いれる」
ただ、それは二人きりじゃないけれど。
「僕、蓮くん、好きになれる、かなぁ」
「きっとなれるよ。」
「蓮くんは、僕のこと、嫌いならない…?」
「蓮も、ユキも、優しいからお互い嫌いになんてならないと思うぞ。」
なんて、考えてたのが甘かった。
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