「やだ！命は僕のだもん！！離してよぉ！！」 「ユキくんの方こそ、離して！！」 今、俺はすごく困っている。 買い物から帰ってきて早速絵本を開いた二人。ユキが俺に読んで欲しいようで本を持ってきて俺の膝の上に座った。 そしたら蓮もやってきてユキだけずるいと怒り出し、二人は喧嘩を始めてしまう。 「二人とも、落ち着けって」 「やだ！！命は僕のなのぉ！！」 「僕のお兄ちゃんだもん！！」 どうすればいいのかわからなくなって、とりあえず二人の髪をワシャワシャと撫でた。 「順番だ。最初に本持ってきたのはユキだから、ユキの本を読んだら蓮の本を読んでやるよ」 「やだぁ！！僕の先に読んで！」 「蓮」 「やだ！」 「蓮！」 ついつい、大きな声で出してしまった。 蓮は固まってすぐビクビク震えだし、次第に涙目になって大きな目から涙を溢れさせる。 「た、叩か、ないで…ごめん、なさい……。」 何度もごめんなさいと言ってきて、その姿は親に怒られた時蓮はいつもどういう扱いをされていたかを想像させられた。 「蓮、大丈夫だ、叩いたりしねえからこっちおいで。」 「ぅ…っ、ゃ、おに、ちゃ…怒らないで…」 「怒ってない」 ユキを一度膝から降ろして涙を流し続ける蓮を抱きしめた。まだ震えは止まらない、植え付けられた恐怖は簡単には拭えない。 「大丈夫、ゆっくり深呼吸してみな。」 「…っ、ふ、ぅ…」 「大きな声、出して悪かった。」 小さくなっていく震え、蓮の涙はまだ止まらないけれど少しずつ安心していってくれてるのがわかる。 「怒って、ない…？」 「ああ、怒ってねえよ。」 「叩いたり、しない…？」 「しない、大丈夫、何もしないから、落ち着け。」 蓮を抱き上げて泣き止むようにあやす、落ち着いた頃にソファーに座らせていい子だ、と頭を撫でてやると嬉しそうに笑った。