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揺れる

「いいから家入るぞ」 「はいはい。…あ、ユキじゃなくてもう一人子供いるから、怖い顔するなよ。」 「は?誰だよもう一人って。」 遠慮なしに部屋に上がった八田はリビングにいた蓮を見て目を丸くして俺を見た。 「なんか、お前に似てねえか?」 「…弟だ、俺の。」 「は!?お前弟いたのか!?」 八田でかい声にビックリして蓮はソファーから立ち上がり俺の足にくっついてきた。 「誰…?」 「八田って言うんだ。」 「や、やた、さん」 蓮が八田を見て緊張しているときにユキが部屋から出てきて、八田を見た瞬間ニコリ笑った。 「八田さん!」 「ユキくん、久しぶりだな。」 八田がしゃがんでユキに向かい腕を広げる。躊躇いなくその腕の中に入っていったユキ。 「で、そっちのそいつの名前は?」 「蓮だ」 「蓮か。よろしくな」 今度は蓮の方を見て蓮の視線と同じ高さになるようにしゃがみ蓮の髪を撫でた。 「よ、よろしく、お願いします」 「なんだ、お前命と違って可愛いな」 「僕、可愛い…?」 「ああ、可愛い。こっち来いよ」 八田が俺の足にくっついたままだった蓮においで、と言うと蓮も迷いなく八田のところに行った。 「八田さん!ふふっ」 「どうした?」 それから少しして珈琲を淹れて、八田とそれを飲んでると蓮がやって来て、八田膝の上に乗った。いつの間にこんなに仲良くなったんだ?と不思議に思うほどに蓮は自然な笑顔で八田に抱きつく。 「下の、お名前、何て言うの…?」 「光」 「ひかる、お兄ちゃん」 「そ、お前本当可愛いな。連れて帰りてえ」 「…ほんと…?僕のこと、好き…?」 「あ?ああ。」 「光お兄ちゃん、僕のこと、連れて帰って…?」 「………おい命、俺は今状況が飲み込めない。」 俺も目の前で繰り広げられていた会話の意味がわからなくて何も言えない。 「蓮?どうした?」 「僕ね、光お兄ちゃん、好きだからね、光お兄ちゃんと一緒にいたいの!」 どうしたらいいんだ、と八田に助けを求めると八田は苦笑して蓮の髪をワシャワシャと撫でた。 「俺と一緒にいてえの?」 「いたい」 「命がいいって言ったら、来てもいいぞ。」 蓮が八田と一緒に住みたいっていう意味がわからないまま、とりあえず蓮のしたいようにさせてやるべきだと思って小さく頷いた。 「悪、い…ちゃんと金は出すから。」 「そんなのいらねえよ。お前も2人見てるのは大変だろ、後で蓮も嫌っていうかもしれねえから、その時はお前のところ連れてくる。」 「ああ」 八田と手を繋いで嬉しそうにしてる蓮は、嫌がることなんてないんじゃないか。と思わせる程の笑顔だった。

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