45 / 95

オメガバース

ついた海では波打つ音がうるさい。 目を閉じて思い出すのはユキの事で、あいつが八神と番になったということは俺はもう、ユキには必要のないものだということだ。 携帯が震えだすけどもうこれも必要ない。 浜辺に投げて俺もその近くに寝転んだ。 目を閉じたまま落ち着いて考える。 八神を殺せば番関係は解消できるけど、そうすればユキがまた辛くなる。手の中で銃を弄んで色々考えるけど、最終的に落ち着くのはやっぱり俺がいなくなることで。 生きていればきっとこれから先、何度も八神を殺そうとするだろうと思って、こうする方法が正しいなんて思わないけど、俺が一番楽になれる方法だから。 手にある銃の安全装置を解いて、銃口をそっと頭につける。 「…次は、アルファに生まれてきてぇな…。」 自分の願望をそっと呟いて、引き金を引いた。

ともだちにシェアしよう!