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チクッとだけ『ヤクザさんと少年くん。』

12月前半。 寒くなってくるとインフルエンザが流行ってくる。それをトラに言われた俺は、ユキに予防接種をさせるか悩んでいた。 「ペンギンさんは鳥なんでしょぉ?じゃあ、お空飛べないの、仲間外れ…寂しくないの?」 「ペンギンさんはペンギンさんの中で生きてるから寂しくないの。」 「でも、僕、寂しい時ある…。」 「そういう時はどうするんだった?」 「命にぎゅーする!」 抱きついてきたユキを抱きしめて、そのまま抱っこする。楽しそうに笑うユキの頬にキスをして、「可愛いなぁ」と言うと頬を両手で押さえて「ふふっ」と小さく笑うユキ。 「ユキ、予防接種しようか。」 「よぼー、せっ……?」 「予防接種。しんどくならないように先に準備するの。」 「しんどくなるの……?お熱?」 「そう。」 詳しく説明したら嫌がることは間違いないだろうか、注射だってことは伝えずにこういう物だと言うことをやんわりと説明した。 「トラにしてもらおうな。」 「トラさんに?うん!してもらうー!」 気付かないでくれ……と思いながら、トラに電話をして明日予防接種をしてもらうことになった。 「ペンギンさんも、予防接種する?」 「するかもなぁ。」 「アヒルさんは?」 「アヒル?何でアヒル?」 「お風呂、プカプカしてるよ!」 ああ、風呂場のアヒルのおもちゃを思い出したのか。「どうかなぁ」と返事をしながらユキを床に下ろした。 「はい、おもちゃ片付けて」 「はーい!」 片手を元気よくあげて片付けを始めたユキを、また可愛いなぁと思いながら眺めていた。

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