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八田と蓮 『少年くん』
「光、にーちゃん…」
「おはよう、どうした?」
預かってる命の弟の蓮が朝早く、飯を作ってる俺のところにやってきた。その顔は心なしか赤い。
「あのね…寒いの…」
「寒い?」
フライパンを熱していた火を止めて蓮の頰に触ると熱い。
熱か。と理解するのと同時に、俺は滅多にに風邪もひかないのでどうしてやればいいのかがわからず、とりあえず温かい毛布に包んでベッドに寝かせた。
「まだ寒い?」
「ぅ、うん…寒い…」
「トラのところ連れて行くか…」
とりあえず寒気をどうにかしてやらないと可哀想だ。暖房をつけて、何か温かい物を飲ましてやろうと部屋を出ようとすると「嫌だ」と涙に濡れた蓮の声が聞こえる。
「ここ、いてぇ…っ」
「わかったわかった」
額を撫でると安心したのかゆっくり目を閉じる。
けれど体の寒気は続いてるようで震えが止まらない。
「寒いのがマシになったら医者に行こう」
「お、お医者さん…」
医者が嫌なのか首を左右に控え目に振った蓮だけど、そのせいで頭がぐらぐらしたのかギュッと目を強く閉じる。
「いつも俺たちが行ってるところだから大丈夫だ、医者もすげえ優しいから」
「…注射、しない…?」
「それは…わかんねえけど」
「うぅ…」
注射は嫌だけどちゃんと医者に診てもらわないとしんどいのが長く続くと考えた蓮は「行く…」と涙を流しながら言った。
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