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命が怒った
そんな命は突然立ち上がりリビングを出ていく。
靴を履くような音が聞こえて慌てて玄関に行けば家を出ようとしていて、腕を掴み止めた。
「どこに行くんだ?」
「親父のところ」
「何でだ。突然」
「…親父がいい」
「…なら俺も行く。」
嫌がることは無かったから、琴音に一言言ってから家を出た。命が手にしていた車のキーを取って、命の車で親父のいる浅羽組まで向かう。
「頭痛い」
「寝てていい」
「…もっと早く行って、早く親父に会いたい」
「あとちょっとだから」
少しすると浅羽組について、命は足早に親父のいる部屋に行く。
「命、親父も仕事があるから、忙しそうだったら少し待てよ」
「…嫌だ」
「いい加減にしろ」
「…うるせえな。」
命はイライラとした様子で、親父の部屋につくとノックも声掛けもせずに扉を開けて中に入った。
それには流石に中にいた親父も少し驚いている。
「命?」
声をかけられても無視をして親父の隣に立った命は「ユキが寝ちゃった」とだけ言う。
「ああ。それでここに来たのか?」
「寂しい。痛い、疲れた」
親父は命を怒ることをせずに「疲れたならお前も寝ろ」と華さんがいる、自分の後ろにある扉をノックして開ける。
「あら、命」
「…華さん」
「悪いな華。命が疲れてるみたいだから休ませてやってくれ。」
「ええ。いらっしゃい、命」
華さんが命の手を引いて部屋に連れていく。
「華、命の話を聞いてやってくれ」
「わかってる」
親父と華さんがこっそりそう話していたことは、俺も多分命も気付かなかった。
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