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トンネルの中で『少年くん』

今日は命に公園に連れてきてもらった。いつもは僕の命だけなのに今日は公園の砂場に1人の男の子がいる。 「命、男の子、いる…」 「あ?話しかけてみたら?」 「…でもぉ、」 「ユキはお兄さんなんだろ?」 ほら、行ってみろ。って背中を軽く押される。でも僕もあの子のこと気になるし、お友達になれたらなぁって思ってゆっくり男の子に近づいてみる。 「な、なにしてるの…?」 「…誰だよお前。」 話しかけたらお顔の可愛い男の子が僕を振り返って大きなお目目で睨んできた。 「あの、僕、ユキ…」 「あっそ。何してるのって見てわからないの?砂遊びだよ。」 「…僕も一緒にしてもいい…?」 「…いいけど……」 いいって言ってくれたのが嬉しくて男の子の隣にしゃがんで一緒にお砂で遊ぶ。 「名前、なんていうの…?」 「侑李(ユウリ)」 「侑李くん!よろしくね…!」 「うん。」 侑李くんはここからすぐ近くに住んでるみたい。今日はお母さんが忙しいから邪魔にならないようにってここに来たんだって。 「邪魔、言われたの…?」 「違う。お手伝いしたらお母さんのお仕事余計に増やしちゃうから、家にいない方がいいなって思って。」 「…うーん。でも侑李くんのお母さんは、お手伝いしてくれるの、嬉しいって言うよ…?」 そう言ったら侑李くんはううん、って首を振る。 「ユキはお母さんじゃないから、わからないよ。」 「…そっかぁ。」 難しいなぁって考えてると「ユキ!」って侑李くんに呼ばれる。 「なあなあ、俺、こっちからやるから、ユキはそっちから手入れて?お城にトンネル作るぞ」 「トンネル…?」 「トンネル知らないの?トンネルっていうのは…えっと…、道だ!」 「道!」 よくわからないけど侑李くんの作った砂のお城にここから入れろよ!って言われたところから砂をどかしていく。 「トンネル、まだぁ?」 「もうちょっと!」 お砂が冷たい。まだかなぁってずっとお手手を前に前にしてると突然砂がなくなった。 「あ、抜けたー!」 「ユキ、ユキ!手繋いで!」 お城のトンネルの中で侑李くんとお手手を繋ぐ、何だか楽しくて侑李くんにふふって笑うと侑李くんも笑ってくれた。 「侑李くん、僕とお友達、なって…?」 「やだ」 「えっ…」 どうしよう、嫌って言われたときのこと考えてなかった…えっと、えっと… 「また、俺と遊んでくれたら、友達になってやる。」 「あ、う、うん!!遊ぶ!侑李くんと、お友達なる!」 「つ、次いつ会えるんだ!」 「侑李くんは…?いつ会えるの?」 俺は、別に、いつでも…っていう侑李くん、僕は急いで命のところに行って今度はいつここに来れるか聞いてみた。 「あー…土曜日かな。」 「わかった!」 それを侑李くんに言うと「じゃあ土曜日の1時にここな!」ってせっかく作ったお城を壊していく。 「何で壊すのぉ!」 「またユキと遊ぶときに作るんだよ。」 「そうなの…?」 「うん、それでまたトンネル作ろう!約束だ!」 「うん!」 そうして次の土曜日、僕に新しいお友達ができた。

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