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イフストーリー 大学生
命に電話をしようかな。でも……今はお仕事中だから迷惑かな。あと十分で講義が始まる。それまでに呼吸と気持ちは落ち着くだろうか。
「──ユキ、いるか?」
悩んでいると凌平君の声が聞こえてきた。
「い、いる、よ」
「大丈夫か? カナちゃん達からは遠い席取ったから安心しろ。」
申し訳ない気持ちになってきて、視界が涙で滲む。
「ごめんね……」
「何が? こんなところに閉じこもって一人で考えても苦しいだけだろ。出てこいよ」
そう言われて、個室から出ると凌平君は柔らかく微笑んで立っていた。
「大丈夫。何かあったら俺が何とかするから。」
「ありがとう」
凌平君に連れられ、講義室に戻り席に座る。
「ユキはバイトしたいって思わないの?」
またバイトの話だ。もしかすると俺が余計なことを考えなくていいように話題を振ってくれたのかもしれないしれない。
「したいとは思うよ。でも、許してくれないから。」
「じゃあ金はどうしてんの? 欲しい物があったら?」
「欲しいって伝えたら、買ってくれるから……」
「彼女どれだけ金持ちなんだよ。家賃も払って、お前の欲しい物も買ってくれるんだろ?」
「……うん」
改めてそう言われると、命に何もしてあげれてない自分が恥ずかしくなる。
「てかお前どこに住んでんの?」
「〇△だよ」
「はぁ? 高級住宅地じゃねえかよ。……待てよ、学費は? 親か?」
「あ……ううん、恋人が……」
「お前の恋人やべえな」
凌平君は初めて見る生き物を見たかのような目で俺を見て、それから何度も頷く。
「でも確かに、お前ほどの綺麗さなら金も払いたくなるわな。何食べたらそんなに綺麗になんの? ニキビとかできたことある? 何その肌。」
「ニキビ? ないかも?」
「どんなスキンケアしてんの?」
「どんな? 恋人が買ってくる化粧水とかはつけてるけど……」
俺が使う物は全部命が選んで買ってくる。
シャンプーもトリートメントも、洗顔料も化粧水に乳液も。
無くなりそうなタイミングで補充されているし……俺、命に甘えすぎだ。
「付き合ってどれくらいなんだ?」
「えっと……四年、とか?」
「そんなに長いのか。」
駄弁っていると先生が来て講義が始まる。
これが終われば昼休み。
命のお弁当が楽しみで、内心ソワソワとしていた。
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