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Side ユウタ

「なんかいー匂い」  超特急でシャワーを済ませて待っていた俺のところに2時間遅れで玉木がやって来た。どこに居たのかは知らないが、すぐに行く口ぶりだったから待ちくたびれてしまった。  とはいえ、デートを切り上げさせたのだから文句は言えない。 「喉かわいた?」 「いや……さっきまでお茶してたから」 「……彼女?」  招き入れた玉木を自分の部屋に迎えつつ聞く。玉木とは高校からの付き合いだが、今まで彼女ってはっきり紹介してきた子はいない。 「違う。まだ会うの二回目。暇だからホテルに連れて行こうと思ってたとこだったんだけど」 「へ、へえ……」  付き合っても無くて、二回目でホテルに連れて行くとかやっぱりヤリチンだ。けどそれくらいでなきゃ俺の乳首開発に付き合ってくれるはずもない。 「ユウタは? なんで俺呼んだの?」 「え……っと、その」 「ん?」  部屋のドアを閉めるなり玉木がエロい顔をして俺を見下ろす。十センチ以上背が高い玉木は俺の襟足に指を絡めて軽く引きながら尋問した。 「用ないなら帰ろうか?」 「や……あのっ、待って! その…………もっかい、して? あの、この間の……」 「この間のなに?」 「……乳首開発。やっぱり自分で触ってもダメだったから」  恥を忍んで頼みごとをしたというのに、玉木はふは、と噴き出す。 「おサルちゃん。おまえの頭のなかはエロいことばっかかよ」 「む……それ、玉木もじゃん。女の子とホテル行こうとしてたくせに……」  十七の男なんだから、エロが頭の殆どを占めてたってふつうだ。気持ちいいことしたいし、もっと気持ち良くなる方法だって知りたい。 「そうだよ。俺もヤりたかったわけ。俺が触ってやったらユウタは気持ちいいけど、俺のはどうしてくれんの?」 「へ……?」  肩をトンと押された。バランスを崩した俺はベッドの上に倒れこむ。そこに玉木が乗り上げてきた。 「おまえのとこに来てやった分、おまえが気持ち良くしてくれる?」 「えっ、えっ……それって、せっくす……しろってこと?」  それは友達としての一線を越えすぎなんじゃないかと焦る俺を尻目に、玉木はTシャツの上に羽織っていた白いシャツを脱ぎ捨てた。 「え……ちょ、まじで……? ぅ、わ……」  Tシャツの上から玉木が俺のぺったんこの胸を揉む。そんな風にされても何も感じなくて、触るなら乳首にして欲しいと思ってしまう。 「触って欲しいとこ出して」 「ん……」  それはたぶんこういうことだろうと、前回と同じくTシャツをまくり上げて鎖骨の下で握る。露わになった胸は、自分が触れた名残で赤く腫れている。 「自分でした?」 「……した……けど、きもちくなかった」  どんなに玉木の手つきをコピーしてみてもあれほどの快感が湧くことはなかった。 「じゃあ責任持って気持ち良くしてやる」  意地悪気に笑ったその顔が格好良すぎて俺はこくりと唾を呑み込んだ。

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