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Side ユウタ
「あっ! ごめん……なんか、夢中で……っ、すごく、だって気持ち良くて……」
だってだって初めてだったのだ。玉木の手に触れられるだけでも未知の快楽を引きずり出された。それが口の中なんてもう殆ど本番と変わらないような熱に包まれれば、経験値の浅い俺なんてひとたまりもない。耐えなきゃなんて理性はぶっ飛んだ。
「じゃ、次ユウタの番」
ほらと尻を軽く叩かれ、玉木の長い足の間にぺたりと座り込む。ごく、と思わず唾を飲んだ。俺にそう言いつける玉木の顔はごく真顔で、冗談ではないことを示している。
斜めに顔を傾けた玉木は王様のように不遜だ。けれどその冷たくも見える眸に俺は逆らえない。
恐る恐る身をかがめると、コットンパンツの前を寛げる。ファスナーを少し引くと中の膨らみに押されるようにして自然と下まで降りた。下着越しにもその存在感は明らかで怯みそうになる。
だが頭上からの無言の圧力に屈し、俺はボクサーパンツのゴムを引いた。
「おっき……」
完勃ちでもないのに俺がマックスの状態の時よりも大きい。しかも綺麗に剥けている。これを口で奉仕するのだと思えば、全身がかっと熱を持った。
「あの、これ……」
「手、使うのなし。口で全部やって」
口に入りきらないんじゃないかと訴えようとしたところで釘を刺される。俺に出来るだろうかという疑問はあるが、玉木はやったのだ。今さら出来ないなんて言えない。
どうにでもなれという気持ちでそこに口を寄せ、玉木のペニスを舌先で舐めた。
「もっと下から舐めて」
びくんと反応があったことに驚いていると、玉木からリクエストされる。根元に近い部分からソフトクリームを舐めるように舌を使えば、明らかに硬度を増してきたのが分かった。その逞しい様子を見ているうち、俺の股間もまたむずむずと欲望を訴え始める。
「尻振って誘ってんの?」
違うと言う間もなくつぷんと後ろの窄まりに指が差しこまれた。驚いて見上げれば、ゴムの空き袋が玉木の口からひらりと落ちる。
「舐めて」
命令に従って唇を落とすと奥に入り込んだ指が動き出す。そんなところに入るはずがないと思うのに、玉木の巧みな指使いにより窮屈な場所は次第に綻んでいった。
「ひ、……ぁんっ」
ペニスの先を撫でられるより強い刺激を感じてあられもない声を上げたその時だ。
「ただいまー」
玄関の開けられた音と共に母親の声が響いた。
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