2 / 10
第2話
上田勝司との付き合いは中学からだ。
中高は友達として、大学からは恋人として。
やんちゃはしていたがゴリゴリのヤンキーでない俺とチャラいけど、根がまじめな勝司。
好き嫌いが同じで、考え方も似ていて、一緒に居ると一番楽で、一番楽しい相手だった。
そんな俺達の関係が変わった最初のきっかけは就職活動での合否。
就職先が決まった勝司とどこの社にも引っかからなかった俺。
俺の就職が決まるまで同棲は見送ろうと提案したが、一緒に暮らした方が家賃が少なく済むと言われ、勝司のマンションに転がり込む形で同棲をスタートさせた。
『夏生の事は俺が養ってやるから、就活はゆっくりで大丈夫だよ』
嬉しい反面負い目を感じていた俺は家事の全てを請け負い、金銭的な負担を掛けないようにとバイトを週六で入れ、時間を見つけては就職活動に勤しんだ。
最初はそれなりに上手くやっていた。
けれど、新婚生活の様な甘ったるい生活に酔っている俺と、慣れない社会人生活に追い詰められていく勝司。
温度差は徐々に広がりを見せ……。
「ヘラヘラ笑ってんじゃねーよ!」
それが最初の亀裂だった。
ともだちにシェアしよう!