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第2話

上田勝司との付き合いは中学からだ。 中高は友達として、大学からは恋人として。 やんちゃはしていたがゴリゴリのヤンキーでない俺とチャラいけど、根がまじめな勝司。 好き嫌いが同じで、考え方も似ていて、一緒に居ると一番楽で、一番楽しい相手だった。 そんな俺達の関係が変わった最初のきっかけは就職活動での合否。 就職先が決まった勝司とどこの社にも引っかからなかった俺。 俺の就職が決まるまで同棲は見送ろうと提案したが、一緒に暮らした方が家賃が少なく済むと言われ、勝司のマンションに転がり込む形で同棲をスタートさせた。 『夏生の事は俺が養ってやるから、就活はゆっくりで大丈夫だよ』 嬉しい反面負い目を感じていた俺は家事の全てを請け負い、金銭的な負担を掛けないようにとバイトを週六で入れ、時間を見つけては就職活動に勤しんだ。 最初はそれなりに上手くやっていた。 けれど、新婚生活の様な甘ったるい生活に酔っている俺と、慣れない社会人生活に追い詰められていく勝司。 温度差は徐々に広がりを見せ……。 「ヘラヘラ笑ってんじゃねーよ!」 それが最初の亀裂だった。

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