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第8話

マジ……終わった……the end……世界の終わり。 終末やんかあああ!!! 「あーあ、めっちゃセックスしてるって誤解してたよね!」 ニヤニヤ笑う伊佐坂。 くそ!くそくそ!!くそったれ!誰のせいだよ!!! 「誰のせいだと思ってるんだよ!」 「椿屋だよ!だって、現に俺とキスしたじゃん」 あっ…… ああ!!そうだった!やったよ!キスしちゃったよ。 「ドンマイ椿屋」 ニッコリ笑って肩を叩く伊佐坂。 「誰がドンマイだよおお!!誤解とけよ!」 「誤解?まだ、キスまでです!今からやるとこなんです!って?」 「ば、馬鹿野郎!!やらないし!」 「まあ、いいじゃん!実際セックスしちゃえば、な?」 ポンっ、と肩に手を置かれる。 「だーかーらー!!やらないって」 「本当、今どきの子だな、今までこれで誘いに乗らなかった奴居ないのに、ノンケのやつも誘ったらハアハア興奮してたし」 「あんた、どれだけ……」 椿屋は改めて伊佐坂を見た。 ……確かに、誘われたら乗る野郎はわんさかいるだろうなって思った。 なんせ、自分もほんの数分前に濃厚なキスを交わしたばかりだ。 ……濃厚。 キスが上手かったよな。見かけ純粋無垢な美少年なのに。 俺、セックス上手いよ?って言ってたのは本当なのかも……なんて思ってしまう。 「椿屋は男初めてみたいだから優しくしてやるよ、すげえ、気持ち良くしてやるから」 ニッコリ微笑まれる。 天使の微笑みで。 「それに椿屋ってマグロっぽいしな、寝てるだけでいいよ」 伊佐坂が言ったマグロって言葉に椿屋はぴくっと反応した。 「誰がマグロだ!」 「お前だよ」 即答される。 「俺がやってるとこ見た事ねーだろ!」 「んじゃ、マグロじゃないとこ見せてよ」 くっ!!また、口車に乗せられそうになると、椿屋は深呼吸をする。 「とにかく、エッチはしません!ハルカちゃんの誤解をときにいく」 そう言って、そもそもどうしてハルカがこの部屋に来たのか不思議に思った。 「ハルカちゃんと先生ってどんな関係ですか?」 「セックスしてくれたら教える」 「もうー!ハルカちゃんに聞きます!」 「姪だよ」 「は?姪?」 「姉の娘」 「まじすか!!あんな大きな姪がいるんですか」 年上って言われたけど、嘘っぽい!とも思っていた。 「ハルカは下の階に住んでる」 「えっ?家賃高いんじゃ」 「このマンション、俺んだもん」 「は?まじすか!!」 どれだけ金持ちなんだよおおお!! 「羨ましいか」 ニヤリと笑う伊佐坂。 くそ!って思うがまあ、お金もその人の才能の一つだと椿屋は思うので、羨ましいとは思うが嫉もうとは思わない。 「あ、だからチョコ」 ハルカがダスカのチョコが良いと言ったのを思い出した。 あれは知っていたからなのだ。 「ダスカはカナタから聞いた?俺も椿屋の事は耳にタコができるくらいに聞いてる。王子様だって」 「あ!!」 だから、王子様って言ったのか。 ハルカは心の声で常に椿屋を王子様と呼ぶ。 「だから興味持った」 ニコっと微笑む伊佐坂。 「興味持ったって……それってハルカちゃんに俺を近付けない為に?」 可愛い姪に近付く男を追い払うただの親バカならぬ、叔父バカだったのか……。 「いんや、ただ単にお前がイケメンだから」 んん?と思った。 なんだよもう!!叔父バカじゃなくて、ただのバカなのか? 「何その理由」 「お前、人は見た目9割なんだぞ!」 「なんすかそれは?」 「9割の人が人を見た目で判断するんだよ!ブサイクだろうが年いっていようがどいつも面倒くさい性格してるんだよ、だったら見た目選んだ方がいいじゃんか」 その言葉にもう返す言葉が出ない。 確かにそうなのだ。 人の声が聞こえる椿屋が1番それを知っている。 「ってなわけでやっちゃおうぜ?」 「そんな軽い乗りで言うなあ!!」 「どんな言い方しても文句言うじゃんか」 「やりたくないだけです!とにかく原稿!」 「チッ、面倒くさい性格だなお前」 「もう、早く服着て下さいよ」 「いいだろ?俺の部屋だから」 確かに……そうだけど。 「風邪引きます」 「ひかねーよ!」 「とにかく着て!」 椿屋は伊佐坂が脱いだ服を拾い集めると目の前に出す。 「つまんねえ男だな……据え膳食わぬは男の恥って立派な日本語があるのによお!」 伊佐坂は舌打ちしながらに言う。 もう、コイツに何回舌打ちされたか分からない……椿屋は舌打ちではなくため息が出そうだった。 「いい、今日は裸で過ごす」 プイっと横を向く。 こ、こいつはあああ!!子供かよ!見た目通りの子供のままならまだ良かった。子供だからって謎の条件で許せるから。 「だめ!着て下さい」 椿屋は伊佐坂に詰め寄る。 「ほら、パンツ穿いて」 椿屋は下着を目の前に差し出す。 「嫌だね!」 伊佐坂は原稿を持ったままその場から逃げる。 「あ!待て!」 追いかける椿屋。 なんか、お風呂の後、服を着たがらない子供を追いかける母親っぽい……と自分で思った。 やっと捕まえて「ほら、もう!足通して」と足元に下着を広げる。 ああ、マジで母親やんか! チッ、 舌打ちの後渋々、下着を穿いてくれたのでホッとする。 「腕通して!」 上を着せて、順番に服を着せ終えた。 ドッと疲れてがでてしまった椿屋。 「今日は勘弁してやる!」 上から目線で言われる。 「俺の担当になったんだから、絶対にその気にさせてやるから覚悟しとけ!」 なんても言われた。 覚悟しとけって……、なんだよ!その自身は!! でも、原稿は渡して貰えたのでそれはホッとした。 明日から……また、こんな風に誘われるのだろうか? 「明日、弁当忘れんなよ!」 伊佐坂の部屋を出ようとした時に言われた。 こんなに可愛い事を言うクセにビッチ!!! 美少年でビッチとか変態にはたまらんじゃないか!と椿屋は「分かりました」と返事を返した。 分かりましたの言葉にパァ~と笑顔になり、また、あのキラキラな瞳。 無邪気で可愛くて……口は悪いけど、ビッチさせなければ凄くいいんだけどなあ…… 椿屋はキラキラな瞳の伊佐坂の頭をつい撫でてしまった。 「子供か!」 「見た目は」 見た目は子供、中身はビッチ……その名も伊佐坂壇十郎。 某アニメを思い出しながら椿屋は彼の部屋を出た。

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