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20話
椿屋は冷蔵庫の中を確認。元々、伊佐坂の昼ご飯にはキャラ弁作ろうと思っていたので材料は充分にある。ただ、量を増やせばいいだけ。
「お姉さんと先生の分でいいんですか?」
「んー、神田の分も作ってやって、アイツうるさいだろうから」
「えっ?神田さん?何で?」
「車出させるから」
「神田さんも行くんですか?えっ?お姉さんだけじゃ?」
「予定では姉ちゃんとお前と俺と神田……うーん、宙も来るかな?あ、仕事かな?確認してみる」
伊佐坂はスマホを取り出す。
「えっ?そんな人数いるんですか?そもそも、どこ行く気ですか?」
「えっ?ランドだけど?」
スマホで電話かけながら答える。
「ランドって弁当持ち込み禁止でしょ?確か」
「えっ?そうなのか?」
「そうですよ……?行くなら作りませんよ」
「えー、やだ!」
伊佐坂は不満そうに訴える。
「やだじゃないですから!」
「じゃあ、違うとこ……あ、もしもし宙?明日なんだけど休みとかか?えっ?休み?じゃあ、一緒に……って、あ、姉ちゃんから誘われてんのか、じゃあ、いいな」
椿屋と会話の途中、宙が出たのか、彼女を誘い、そしてどうやら彼女も来るらしいと会話で分かった。
「椿屋、どこかいいとこ知ってるか?俺は外出ないから知らないんだ」
電話を切ると椿屋を見る。
「えー、雷門ですか?」
椿屋は困った顔で答える。椿屋もあまり知らない。仕事ばかりだったし、観光しようとは思わなかったからだ。
「いいや、神田に聞く!椿屋は弁当つくれよ」
伊佐坂はまたスマホを弄る。
先ずはLINEで『車を用意せよ!明日、観光する。報酬はこの写真のボカシなし 』と打ち、椿屋の写真にボカシを入れて送った。
神田の返事は早かった。
『御意 』
流石、神田である。
「先生、飾り切りの他は何がいいですか?」
「リクエストか!!」
キランと瞳を光らせスマホを置くと椿屋の横に来た。
「俺、あんまり弁当に入れるの知らねーから椿屋に任せる。お前の作るもの何でも美味いから」
ニコニコして答える伊佐坂はまるで遠足の弁当を作る母親の横にいる子供みたいだ。
幼稚園から小学生低学年くらいの。
「じゃあ、おにぎりにします?サンドイッチ?」
「おお!!二択か?どっちか選ばないとダメなのか?」
腕を組みうーんと唸る伊佐坂。真剣に悩んでいるようで微笑ましい。
「じゃあ、両方いれましょうか?」
「えっ!!いいのか?」
悩んでいた顔がパァーっと花が咲いたように明るくなって嬉しそう。
「いいですよ?先生って大食らいじゃないですか!おにぎり、うさちゃんにします?」
「う、うさちゃんってウサギか?」
「そうですよ?好きでしょ?うさちゃん」
リンゴをウサギにするだけで喜ぶ伊佐坂なので、きっとウサギ好きだと椿屋にはインプットされている。
「おお!!好きだぜ?うさちゃんのおにぎりってどう作るんだ?」
ワクワクしながら椿屋を見る。
それが可愛くて「一緒に作りますか?」と聞くと。
「作る!!!」
と凄くいい返事がきた。
くっ!!どんなにエロくても……ケツ掘られても……これがあるから……憎めないんだよなあ。
椿屋はケツ掘られた事を許してしまったのである。
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