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第8話

◆◆◆◆ 「下着が似合ってて可愛いけど、脱がしちゃうね」 男は伊佐坂の下着を脱がせる。 露わになった彼の下半身をニヤニヤしながら見つめる男はおもむろに上着のポケットからスマートフォンを取り出し、写真を撮り始めた。 下からのアングルや全体的にも何枚も写真を撮る。 「はめ撮りも撮っちゃうね!今日の記念に……」 男は自分の指2本を口に入れ、タップリと唾液をつけた。 伊佐坂の片足を持ち上げ尻穴へと迷わず指2本を挿入する。 さっきまで椿屋と繋がっていたそこはすんなりと指2本を呑み込む。 指の付け根まで押し込むと何度も出し入れを繰り返す。 「凄いね、指2本はあっという間に入るんだ……君は可愛いのにビッチだ……可愛いからかな?色んな男がほっとかないよな……ああ、そうか、さっき出てきた、着物着た男とやってたのかな?」 男は椿屋の事を思い出す。 「……俺とはやらなかったくせに……」 男は指を抜くと伊佐坂の腰を持ち上げ、彼の身体を折るような体勢をさせた。 目の前に尻穴が……。 そこに舌を這わせ、唾液をタップリと注ぎ込んだ。 「ああ、そうだはめ撮りしなきゃ」 男はスマートフォンを録画機能へと切り替え、伊佐坂を録画し始める。 「今からここに挿入しまーす!」 尻穴を映し、その後に伊佐坂の顔を映す。 男はズボンを脱ぐ為にスマートフォンと伊佐坂の足をベッドへと置き、下着ごとズボンを下ろす。 「早く挿れたい……」 伊佐坂を弄る事でとっくに勃起した陰茎を手にすると尻穴へとあてがう。 その様子をまたスマートフォンで録画を始めた。 ◆◆◆◆◆ 『たまんねえ!!!今からやれる!!!セックスできる!!』 伊佐坂の部屋のドアを開けた瞬間、その声が聞こえた。 荒々しい声。 やっぱり、さっきの奴!!! 椿屋は急いで寝室へと向かった。 『ああ!!入っちゃうよおおお!!』 寝室のベッドに尻を出した男の後ろ姿と伊佐坂の白い両足が見えた。 コイツ!!! 男は椿屋に気付いていないようで、その後ろ姿に反動をつけて回し蹴りを食らわした。 男は呆気なく飛び、ドサッと床に落ちた。 ピクリともしない男の様子を伺うと気を失っているようだ。 男の側にスマートフォンが落ちていて、拾い上げると録画中。 その機能を使うって事は撮しているという事だ。 椿屋は中身を確認。 はめ撮りと写真を見つけた。 きっと、これを使ってこれからも伊佐坂に如何わしい事をするつもりなのか、金品目的なのか分からないがろくな事には使わないだろう。 よって、消去。そして、スマートフォンを投げて破壊した。 倒れた拍子に壊れた事にしよう……。椿屋はそう考えた。 そして、ベッドに横たわる伊佐坂へ視線を向ける。 下半身丸出しの露な姿。 さっきまで穿いていたレースの紐パンツはベッドの横に落ちていた。 それを拾って、下半身に捲れあがったスカートをかける。 「伊佐坂先生?」 頬を軽く叩くが反応なし。 変な薬とか使ってないよな? 医者に診て貰うか? 伊佐坂を襲った男をどうしようか悩む。 レイプだもんな……犯罪だ。 警察に連れていくか? まあ、ちょっとめんどくさいがこういう輩は野放しには出来ない。 椿屋は神田に電話を入れる。 相談する為だ。 ◆◆◆◆ 伊佐坂をちゃんとベッドへ寝かせシーツをかける。 神田は直ぐに来ると言っていた。 床に転がる男を担ぎ上げるとキッチンの椅子に座らせ、伊佐坂の私物の拘束道具を使い逃げられないように縛りあげる。 こいつ、名前なんて言ったっけ? 男の顔をマジマジと見る。 えーと、浜田? 椿屋はこの男の名前を思い出した。 結構真面目な人だった気がするけどな? この男の仕事振りを少しづつ思い出してきた。 挨拶とかもちゃんとする人だったし……仕事の教え方も上手かった気がする。 でも、仕事が真面目だからとか、挨拶するから良い人とは限らない。 こういう裏の一面もあるのかも知れない。 心の声……この人も神田先輩みたいに裏表ない人だった気がする。 人って分かんないな。 そういう事を考えていたら、チャイムが鳴った。 インターフォンを確認すると神田の姿。 「入口開けますね」 返事をして、マンションの入口のドアを開けた。 暫くすると神田が部屋までやって来た。 「先輩、早かったですね」 「当たり前だろ?うちの大事な先生の危機だ」 『椿屋が居てくれて良かったあああ!!』 心のシャウトも聞こえる。 「浜田さんって人ですよね?」 神田を男が居る場所へ連れて来た。 「コイツ……本当、アホ……」 『うつ病で引きこもりやってたんじゃないのか?』 「えっ?」 椿屋は神田の心の声の方に反応をした。 うつ病? ある日、いきなり辞めたのはそういう事? 「うん、浜田だよ……」 神田はため息をつく。 『まだ、先生の事を引きずってたんだな』 神田の心の声が気になる椿屋。 「あ、あの、この人ってどうして辞めたんですか?それにどうして先生をレイプしようと」 心の声が聞こえますとか言えないので質問をする椿屋。 「うつ病で……うーん、話すと長くなるというか……うーん、プライバシーとか」 「レイプ犯にプライバシーはない!」 『椿屋厳しい!!』 神田の心の本音に笑いそうになるけれど、犯罪者だ。 「先生の担当になって……まあ、先生って可愛い美少年な容姿だろ?あっという間に惚れちゃってさ……もう凄かったんだよ!担当と先生の恋仲は良くある話なんだけど、そんな事してると仕事が疎かになるし、まあ、それによって仕事捗る人もいるけどさ……要するに浜田はこじらせ系なわけよ、何でも思い込むというか……先生を独り占めしたいらしくて、勝手に他の出版社の担当を出禁とかにしてくれちゃって、ウチに苦情殺到……本当に一時期大変だったんだ。まあ、先生はほら、椿屋みたいなイケメン好きだからさ、相手にはしてなかったんだよ、すると、今度は自殺するだの、何だの騒いで……もう、担当外したわけよ、そしたら、次の担当に嫌がらせ始めるはで」 神田は一気に喋ってため息をつく。 「強制解雇というか……面倒みきれなくて、切ったんだよ、ウチの会社が……そしたら、ストーカーとか始まって」 「なんか……ごじらせ過ぎてません?」 「そうなんだよ」 『ああ!!暫く出て来なかったからホッとしたのに』 心のシャウト。 そうとう面倒臭かったのか?と椿屋は思った。 「今度はレイプ騒動か……」 『どーすんだよおおお!』 途方に暮れる神田。 「警察に突き出しますか?」 「そいつ、ストーカー条例で俺に接近禁止出てるからそれだけで捕まるよ」 椿屋の言葉の後に伊佐坂の声がした。 振り向くとアリスの格好の伊佐坂が立っている。 「先生、寝てなきゃ」 慌てる椿屋。 「大丈夫……ちょっと油断しただけ」 「変な薬とか……?」 「それはないよ、スタンガンだけだと思う腹に衝撃きたから」 スタンガン……気を失っていたのはそのせいか。 「一応、病院に行きますか?」 「いい……理由言わなきゃいけないだろ?」 「えっ?」 「レイプされそうになりましたってあっという間に尾ひれついて、レイプされたって広まるだろ?」 あっ……確かに。未遂だけど、マスコミとかネット住人とかは好き勝手に書くし憶測で話している事が実際あったみたいになってしまう。それが現実。 「警察には?」 「部屋の前まで来たのを椿屋が取り押さえたでいいよ」 「でも……」 椿屋はまた、コイツが何かするんじゃないかって心配だった。 「神田!いいよな?」 伊佐坂は神田を見る。 「分かりました」 『先生の言う事は絶対!!』 ああ、ダメだ……と椿屋は諦めるしかない。 「椿屋がここで俺を守ればいい」 「はい?」 椿屋はキョトンとする。 「いいよな?神田」 「はい!先生の言う事は絶対です!」 キリッと敬礼をする神田。 「えっ?えっ?」 困惑する椿屋。 「ところで、先生の格好……」 神田はマジマジと伊佐坂を見ている。 「椿屋が着てくれってうるさくてさ……こういうの着てセックスするの好きらしい」 ニコッと微笑む伊佐坂。 「椿屋……お前……」 『食われたか、食ったか……』 神田にお前、変態だなっという目で見られた。

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