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6話

「椿屋ー!おかわり!」 コーヒーを飲み干した伊佐坂は大声で椿屋を呼ぶ。 何時もなら、面倒くさそうに来るのに来ない。 アイツ、帰ったのか? 伊佐坂はパソコンから離れて椿屋を探す。 すると彼は伊佐坂のベッドで熟睡しているではないか。 コイツ、家の主より先にスヤスヤ寝やがって!! 伊佐坂は椿屋の近くへ行き寝顔を覗き込む。 「そんな無防備に寝てると襲っちゃうからな」 椿屋の頭を撫でる。 「寝顔は可愛くて……いい感じだよな」 頭を撫でていた手のひらは頬にくる。 「キスしたら起きるかな?王子様は……」 伊佐坂は顔を近付けて彼の唇に軽くキスをする。 コイツ、意外と起きないんだよなあ。フェラして途中でやっと起きたから。 無防備な椿屋にちょっと顔が緩む。 そして、包帯が巻かれた手にそっと触れて、 「助けてくれてありがとう」 と小さく呟いた。 ◆◆◆◆◆ 椿屋はふと目が覚めた。 目が覚めて青ざめる……やばい!!俺、寝てた? 原稿書いてる先生をほったらかして……やらかしてしまった。 起き上がろうとして、背中に何か温かいものを感じてゆっくり振り向く。 げっ!!! 振り向くとそこには伊佐坂が熟睡している。 しかも、ピッタリと自分にくっついているではないか。 なんか、可愛い……。 伊佐坂の方へ身体を向ける。 くっ!!寝顔、天使!! 伊佐坂は寝顔も可愛い。 スヤスヤと眠る伊佐坂は本当に天使だ。 しかも、太ももあらわ……生脚魅力なマーメイドですか!! 本当にこの人、色白いよなあ。 肌も綺麗だし。俺より本当に年上? 絶対に10代……?ショタと呼ばれる生き物ってこういう事かい?と言いたくなる。 ショタは可愛いと会社の女性スタッフ達が話していたのを聞いたけれど、確かに目の前のショタは可愛い。 天使だよ。口は悪いしエロいけど。 椿屋は伊佐坂の身体にシーツをかけると起き上がる。 今、何時? 時計を見るともう直ぐ朝になるところだ。 朝飯作るか? 手のせいで時間かかるから丁度いいかもな。 伊佐坂の頭を撫でてベッドから降りた。 何、作ろうかな? 伊佐坂が喜ぶモノを作りたい。そしたら、また、目をキラキラさせて喜んでくれるから。 そして、キッチンへ向かう。 キッチンへ向かう途中でリビングにある伊佐坂のパソコンに視線が行く。 何か書いてたよな。 開かれっぱなしのパソコンを見るとスイーツの画面だった。 ……仕事してたんじゃねーのかよ? 画面にはパフェが並んでいる。……そんなに食べたいのかよ? いや、……そんなに楽しみにしてくれているって事だよな? 色んな種類を検索していたようで、なんか可愛いなんて思ってしまった。 ちくしょう!失敗出来ないじゃないか! なんて思っても顔がニヤつく。 さてと……フレンチトーストでも作ろうかな? 喜びそうだもんな。 生クリームとか、フルーツも乗せるといいな。 不思議だよな。自分の為に作る時ってこんなに楽しくないし、ワクワクしない。 作る相手がいるって凄い事なんだなっと椿屋は実感した。 料理を作るのが楽しいのは久しぶりだ。 実家に居る時に作って、美味しいって喜んで貰えて……でも、彼女とかに作ってあげた時は「嬉しい」「ありがとう」とお礼は言われるものの、心の声は「太っちゃう……今日はこの後何も食べないようにしよう」とか「女より料理出来るって嫌味?」と聞こえてしまい、もう二度と作ろうとは思わなくなった。 それに彼女から手料理作って貰った事無かったな……と思い出したら虚しくなった。 可愛いけれど、料理出来る女の子が少ない事実を知った。 お母さんは娘に料理教えるもんじゃないのか?と不思議に感じた。 でも、今は楽しい。 キラキラしたあの笑顔が見たい。 それだけで、やる気が出るのだ。

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