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9話

紐パンツやらビキニやら……もう、布が少ないのばかり。 「あ、これどうよ?モフモフ好きだろ?」 と渡されたのは一面に狼がプリントされた下着で1番まともだった。布も多いボクサーパンツ型。 モフモフというか、狼がモフモフなだけでパンツはモフモフではないじゃないかと突っ込み入れたかったが止めた。 「これにします」 ノーパンでいるわけにもいかない。 「それと、穿いてたズボンも洗濯機ですか?」 「うん、ウッカリとザーメンつけたから」 「は?……今、なんて?」 「ザーメンつけた」 「ラーメンとか食べましたっけ?」 椿屋は下着を穿きながら聞き返す。 「お前、若いのに耳まで遠くなったのか?ラーメンじゃねえ、ザーメンだ!いっとくけど、麺類じゃねえよ!精液だ!ボケるなよ!」 「……んん?なんで、精液なんですか?まさか、俺のズボンをオカズに」 「おう!面白い冗談言えんじゃーかよ!違うよ、オカズにするならお前脱がせて目の前でオナるよ、昨日のセックスの時についたんだ」 椿屋は考えた。 えっ?セックスした? 腕組みして考える。 うーん、えーと、夕べは俺……。頑張って思い出してみる。 ソファーでウトウトしてて。少しづつ思い出してきた。 伊佐坂がネコ耳フードのモコモコのパジャマ着てた!!! 「ネコ耳フード」 「えっ?お前サイズのはないぞ?着たいなら頼んでやるよ」 椿屋の呟きに返事をする伊佐坂。 「違います!昨日、ネコ耳フードのモコモコ着てたですよね?」 「着てたよ、お前のザーメンついたから脱いだ」 「……えっとお、ネコ耳フード着たまま俺と……?」 あれ?俺、記憶ない。 「やったよ!お前すげえ可愛かった」 「……冗談ですよね?」 椿屋には記憶が無かった。 「みる?」 「は?」 伊佐坂は椿屋の手を掴むとリビングへ戻って来た。そして、パソコンを立ちあげると何やら再生させた。 「んんっ……もっとお……」 画面にドーンと自分が映し出された。 「な、なんすかこれ!!!」 椿屋は一気に顔が熱くなる。 「夕べのお前、めっちゃ可愛かったから」 「ちょ!!!消してください!!こーゆーの盗撮って言うんですよ犯罪です」 椿屋は真っ赤な顔でパソコンのスイッチを切ろうとする。 「ちゃんと撮っていいかお前に聞いたぞ?」 「俺は知りません!!」 「覚えていないのは残念だなあ。お前、ケツ弄られて気持ち良すぎて昇天したんだよ」 「ケツ?はあ?なんすかソレ!!」 「前立腺と蟻の戸渡りを教えてやったんだよ」 「しし、知りませんんん!!」 何だよソレ!!何だよおお!!椿屋は全く覚えていない。 画面には確かに性器を型どった玩具を挿れられているのが映っている。 「嘘やん!!」 「ケツ、気持ちいいんだぜ?お前の良いとこも見つけたし」 「見つけなくて良いです!!もう!消して下さい!消さないとスイーツもキャラ弁も飾り切りも作らないですよ」 脅しのつもりだった。こんな可愛い脅しで消してくれるわけがないと思ったが、言葉にだしてしまった。 「えっ?それは困る……ウサギマカロン作って欲しいから」 なんと、アッサリと画像を消してくれた。 言った本人の椿屋は驚く。 「消したから飯作ってよ!腹減った」 ニコッと天使の微笑みを見せる伊佐坂。 さっきまで悪魔のようだったのにいきなり天使。 「……分かりました。朝は和食作ります」 椿屋はそのまま、キッチンへ。 顔がまだ熱い……。 自分のエロい画像とか初めて見た。当たり前だけど。 あんなエロい顔してんだ俺……と穴を掘って入りたいくらいな恥ずかしさだ。 「なあ、椿屋……裸エプロンしない?」 伊佐坂はフリフリのエプロンを手にキッチンへ。 「しません!!したいなら自分でして下さいよ」 椿屋は卵を割ながら返事をする。 「椿屋の野獣」 伊佐坂はそう言うとエプロンを持って離れて行った。 本当……あの人は!! そして、また、エロい自分の画像を思い出す。 あんな、デカい玩具が俺の尻穴に……。 玩具を出し入れされている画像もちょっと見えた。 その時の椿屋は「あんっ……気持ちいい」とか喘いでいた。 ああっ!!俺の馬鹿あ!!何、喘いでいるんだよおお!! 頭をブンブン振って画像を消し去ろうとする。 前立腺とか蟻の戸渡りとか……。 前立腺は聞いた事がある。男性にしかなもの。そこを刺激すると気持ち良いとも聞いた事がある。 実際、伊佐坂は気持ち良いといつも言っている。 蟻の戸渡りは知らない。 あの人、変な知識あるよな。流石、作家……。いや、俺が知らなずきなのかな? そんな事を考えていたら、遠くで自分のスマホの着信が聞こえてきた。 無駄かも知れないが「先生、すみません手が放せなくて俺のスマホ……」と振り向いた。 危うく持っていた容器を落としそうだった。 「んー?スマホ?」 と返事をする伊佐坂がさっき彼自身が持ってきたフリフリのエプロンを付けている……もちろん、裸だ。 裸エプロンんんん!!! 固まる椿屋の前で「何?お前がやれ言うたんだろ?」と腕を組んでいる伊佐坂。 「いや……あ、言いましたけど……本気にするなんて」 そうだった、この人は本気にする人だったよ。俺の馬鹿!! 椿屋は次からは言葉を選ぼうと思ってしまった。 でも、正直……裸エプロンの伊佐坂はエロ天使だった。 フリフリなのもまたいい感じ。 そして、伊佐坂は椿屋に背を向けた。 スマホを取りに行く為なのだろうが。 プリンとしたお尻と綺麗な背中……細い腰。 後ろ姿は女の子みたいだった。

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