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10話

「ほらよ!」 伊佐坂はスマホを持ってきてくれた。面倒臭いとか普段言うくせに……。 「あ……りがとございます」 椿屋は伊佐坂を直視できない。だって、裸エプロンなのだから。 電話は神田から。 一旦、作業を中断して電話に出た。 「もしもーし椿屋?」 「おはようございます」 「怪我どうかな?って思ってさ……あと、原稿どう?」 「怪我……あまり痛くないですよ。原稿は」 椿屋はチラリと伊佐坂をみる。視線に気付き何?と首を傾げる仕草がキュン死しそうだ。 慌てて目をそらす。 「調子良い感じですよ?」 「そうか、それなら良かった」 神田と話しているのに伊佐坂が身体に抱き着いてきた。 「ねえ、まだあ?早くエッチの続きしよーよ」 甘い声。 しかもかなり大きい声。 げっ!!と思った。 「ちょ!何言ってんすか?」 「もう待てなーい、早く動いてよお」 「ば、ばか!!」 伊佐坂はニヤニヤしながら大きな声で言うから椿屋は焦る。 「……あー、なんかごめんなあ空気読まずに」 『朝からすげーな!椿屋!若いっていいよなあ』 本気で誤解している。心の声なんて尊敬している。 「ちが、違いますから!!」 「原稿よろしくって伝えて。椿屋お疲れ様」 神田は電話を切った。 ……マジかよ。 「せんせえええ!!」 椿屋は抱き着く伊佐坂を見下ろして睨む。 「長引くよりいいじゃん?俺、腹減ってんだよ」 抱き着いたまま見上げて微笑む。 抱き着く伊佐坂はエプロン1枚で丁度、お尻が見える。 くそう!!目のやり場に困る。 「つ、作りますから離れて」 目をそらす椿屋。 「早く作れよ」 ニコッと笑って離れる伊佐坂。 椿屋は朝食を作り始めるが抱き着かれた箇所が熱い。 離れられて……寂しい……。なんて思わないよ絶対!! ちくしょう!!俺のエロ動画撮った奴だぞ? 椿屋は邪念を振り切るように頭を振り朝食に集中する。 ◆◆◆◆ 純和風の朝食を作った椿屋。 「おお!!すげーな!」 伊佐坂は御機嫌で食べてくれる。 この人、本当に美味しそうに食べるなって椿屋は嬉しくなる。 「ん?何見てんだよ?俺の裸エプロンに悩殺されたか?」 椿屋の視線に気付き、ニヤニヤしながら言う。 「裸……!!違います」 そうだった、裸エプロンだった。 「美味しそうに食べるなって思って」 「だって、美味いから。美味いもの食べてるから美味そうに食べるんだろ?」 当然だろ?みたいな顔。美味しいからって嬉しい事を言ってくれる。 「ありがとうございます」 素直にありがとうが言える。不思議な人だ。……エロいけど。 椿屋はキッチンへと戻る。 何かデザートでも!と思ってしまった。 「椿屋あ」 後ろからついて来たみたいで背中から抱き着いてきた。 「ちょっと、危ないでしょー!」 また、抱き着いて貰って熱さが復活してしまった。 「なあ、朝エッチしよーぜ?」 「はあ?」 「今日、天気いいからベランダで」 「な!!何言ってんすか!やるわけないでしょーが!」 「裸エプロンのままエッチするのは男のロマンだろ?」 「そんなロマン持ってません!」 「フェラやってあげるよ?」 腹に回した伊佐坂の手が股間に伸び、下着の上からチンコを鷲掴みにした。 「やっ、ちょっと!!」 「夕べのお前可愛かったなあ」 下着の上から揉み揉みを繰り返す伊佐坂。 その手をどかそうとするが……きっと、本気じゃないのかも知れない。だって、自分の方が力は強いはずなのにどかせない。 しかも、気持ち良くなってきてしまった。 椿屋は息を大きく吐きながらシンクへ手をつく。 「素直になってくれて嬉しい」 伊佐坂は下着の中へ手を入れると揉み揉みですっかり大きくなった椿屋のチンコを外へ出す。

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