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7話

うわーーー!!布すくなっ!! 下着を穿いた感想。 大事な部分が辛うじて隠れるがモッコリとして強調されているのが気になる。 しかも、尻なんてもう、紐だけだろ?ばりくい込んでるやんか!! 椿屋は……俺には早すぎた……いや、大人過ぎる下着だと脱ぎたくなっている。 先生はこういう下着、穿きなれているよな……。 いっぱい持ってるもんな。 こんなの穿いて……誘ってたりしたのかな? 「チンコ、しゃぶっていいぞ?」 ふと、伊佐坂の言葉を思い出して、また、イライラした感情がポコんと出てきた。 あー!!もう!!いくら神田さんでも許さん!! 拳を握り、2人の元へ戻る。 「穿きました!!」 イライラしているので少し声がでかくて迫力がある穿きました。だった。 「何だ、何だ?自信あるような感じだな」 神田がニコニコと椿屋を見ている。 『似合うだろうな椿屋』 心の声が何だか弾んでいて、何……期待してんの?と思ってしまう椿屋。 「椿屋、こっち来い」 伊佐坂に手招きされた。 「なんすか?」 側に行くと「両手上げろ」命令された。 何だよ?と戸惑いながら両手を挙げた椿屋。 次の瞬間、着物の裾を掴まれたくしあげられた。 もちろん、股間は丸見え。 「おおお!!!ブラボー」 神田の歓声と拍手が部屋に響く。 一瞬の出来事で椿屋は何が起こっているか分からなかった。 「似合うな椿屋」 伊佐坂は股間に顔を近付くと下着の上からカプンと甘噛をした。 「!!!!!」 声にならない悲鳴。 驚いて、やっと、伊佐坂の頭を掴み「やめなさい!!」と声に出せた。 そして、着物を戻そうと伊佐坂の手から着物を離させるが下へさがらない。 何で?と振り返るといつの間にか真後ろに神田が居て座り込んで尻をみていた。 「神田さん!!!」 身体を反らして逃げる。 「いやあ、お前の尻、形いいなあ」 ニコニコしている神田。 『やっぱ似合うなあ!買って良かった』 満足そうな神田。 「いいじゃん、減るもんじゃなし」 着物の裾を慌てて戻した椿屋につまんなさそうな顔でいう伊佐坂。 「減りますから!」 「まあ、どうせ、後で脱がすけどな」 ニコッと天使の微笑み。 この人って……本当、顔と中身が合っていない。 「さて、下着も拝めたし仕事の話」 神田はソファーに座る。 「椿屋も一緒に聞けよ」 そう言われたので椿屋もソファーに座った。 「伊佐坂先生に新しいジャンルに挑戦して欲しいんですよ」 『ワクワクしちゃうよ!ワクワク!!』 神田の心の声が聞こえ、ワクワクする新しいジャンルって何だよ?と椿屋はかなり気になってしまう。 「ボーイズラブです」 「BLか」 神田の言葉に重ねたように言う伊佐坂。 「は?BL」 それは予想外だった。椿屋の頭の中にはBLのジャンルは無かった。 そもそも、BLを扱っていなかったから。 「先生は女性ファン多いですし!絶対に売れると俺は確信してます」 「何でそう言い切れるんですか?確かに先生は人気作家ですけど」 「それはな椿屋」 『ふふふ、ふふふ、』 心の笑い声が気持ち悪いと椿屋は引く。 神田は上着からスマホを出し。 『えーと、どこだったかな?あ、これだこれ!』 スマホを検索しながら何かを見つけ、椿屋と伊佐坂の目のにスマホの画面を見せる。 「素人のケータイ小説サイトのBLジャンルなんだけどさ、そこに伊佐坂先生と多分、椿屋の事だと思うんだけど作家と編集のBLあるんだ」 「は?」 驚いた椿屋の声は大きかった。 「先生がTwitterで王子(担当)の事ばかり呟くから先生と王子のボーイズラブが誕生しているわけだよ!腐女子って生き物は何でもカップルにしたがるからな」 ふふふ、と笑う神田。 「先生と俺……」 確かに伊佐坂のTwitterには椿屋の事がツイートされていて、もちろん名前は伏せてあるし、写真も後ろ姿だけとか、作ったスイーツとか。それだけで、BL書けるのか?BL好きな女の子って。 「椿屋、眉間にシワ寄ってんぜ?実際セックスやってんだからいいだろ?」 伊佐坂に突っ込まれる。 「あ、いや、そうじゃなくて……俺のツイートしただけで話とか書けるのか?って不思議で」 「椿屋、腐女子舐めちゃいかんぜ?あの子ら突っ込める穴と差し込める棒状のモノがあれば話を広げられるし、擬人化ってやつな。オスとオスなら何でも妄想出来る。凄い生き物なんだぜ?」 「神田さん詳しいですね」 「会社にも腐女子居るし、何より奥さんが腐女子で毎回、イベント行ってる」 『おかげでいつも留守なんだけどな』 「マジすか!!」 神田の言葉と心の声に驚く椿屋。 「だから、いけるなってふんだわけ!」 「BLねえ」 伊佐坂は考えている。 「リアルに書ける自信はある」 ニヤニヤしながら椿屋を見た。 「な、何が言いたいんですか?」 「別に……まあ、受けてもいいけど」 「本当ですか?」 『やったあ!!やったね!!』 神田は立ち上がって喜んでいる。 『先生、エロの表現上手いからなあ!きっと受ける』 「とりあえず、来月からな!今、詰まってるから……で、条件がある」 伊佐坂は神田の前に乗り出す。 「条件ですか?」 「椿屋の荷物ここに運んで来てくれ」 「は?」 返事をしたのは神田ではなく椿屋。 「一緒に住むから」 ニコッと微笑む伊佐坂。 「何ですか!何勝手に決めているんですか?」 「お前に拒否権はない!どうせ通ってくるんだし、ここに住めば家賃無料になるぜ?」 家賃無料……その悪魔の言葉に心が動く。 「部屋、余ってるしな」 ぐっ!! 凄く魅力的だ。 ここまで通うのは正直めんどくさかった。 地味に遠いし。 「そんなわけで椿屋の荷物よろしく!」 椿屋が悩んでいる間に決まってしまった。 同棲決定の瞬間。

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