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8話

「決定事項ですか?」 一応、確認の為に聞いてみる椿屋。 「お前に拒否権はない」 悪魔のような言葉を伊佐坂と神田がハモらせる。 「奴隷ですか……」 「いいだろ?恋人同士なんだからさあ、あ、でも、同棲している事は内緒にしないとな、面倒臭い事になるからな」 神田はニコニコ笑う。 『同棲とかバレると会社の女の子達が泣くだろうし……まあ、同棲相手が男だと分かると泣く男も出てくるだろうけどな』 はっ?今、何て? 神田の心の声に反応しそうになる椿屋。 泣く男……あ、そうか、伊佐坂先生を知っている野郎達の事か。 ……っていう事は俺がここに居れば変な男は来ないだろうし、この前みたいに襲われる事も。 椿屋はチラリと伊佐坂を見る。 ワンピースのせいもあり、可憐に見える伊佐坂。中身はエロ野郎だけど。 ルックスだけなら、変態野郎が集まってくる。 夜に1人歩きなんてさせた日には誰も居ない所へ連れ込まれて襲われる可能性が高い。 集団で代わる代わる……伊佐坂を。 ビリビリに破かれた服。 押さえつけられる両手。口にはタオルか何かを突っ込まれて声が出せないようにされ、両脚は無理矢理開かされ、男達のイチモツを…… あああ!!! ヤバイじゃんかあ!!! 「椿屋?お前どうした?」 黙ったまま立ちすくむ椿屋に不思議そうな顔をする伊佐坂。 「分かりました」 椿屋はグッと拳を握る。 守らないと……。 密かに決意する椿屋。 「じゃあ、引越しの手続きしなきゃな」 「神田に任せた」 神田の言葉にニコッと微笑む伊佐坂。 「椿屋、荷物整理に来いよ、引越し業者はこっちが頼むから」 「な、なるべく安いのにして下さい」 引越し業者はピン切りだが、そんなに金を使いたくはない。 「椿屋、せこいぞ?顔はイケメンのくせに」 チッ、舌打ちをする伊佐坂。 「顔とか関係ないです!金は大事ですからね」 「俺が払ってやるよ」 「は?」 椿屋は耳を疑う。……この人、結構……ケチなのに。どーした? 「俺のワガママで引っ越すのだから払う」 「ワガママ言っているっていう自覚あったんですか?」 それにも驚く椿屋。 「お前、本当、失礼だよな?」 伊佐坂は椿屋を睨む。 「つ、椿屋!謝っておけ」 『機嫌悪くなって連載やらないとか言われたらどーすんだよおお!』 もれなく神田の心のシャウトも聞こえ、「すみません」と心がこもっていない謝罪をする。 「椿屋には身体で払って貰うからいい」 「えっ?無料じゃないんですか?」 「等価交換だよ」 「なんか、怖いんですけど」 「大丈夫、いつも通り、野獣な椿屋でいればいいだけ」 ニヤリと笑う伊佐坂。 それが怖いってちゅーねん!!と突っ込み入れたかった。 「神田、そろそろ空気読め」 神田へ視線を向ける伊佐坂。 「えっ?」 キョトンとする神田。 「椿屋とエッチお預けだったんだよ!椿屋なんぞ、寸止めだぜ?」 「寸止め」 神田の視線は椿屋の股間へ。 どこを見ているか分かった椿屋は思わず、神田の視線から逃げるように背中を向ける。 『いい尻の形してんなあ椿屋……セックスとかいいよなあ……やりたいなあ』 欲求不満な神田の心の声が聞こえてくる。 どんだけ奥さんとやっていなんだよ?と心配してしまう。 このままだと風俗行きそうだな。 神田さんって見かけ、性欲無さそうに見えるけど、エロそうだし。 「神田、椿屋を見すぎ……金取るぞ」 と伊佐坂。 「じゃあ、おいとまします……後で仕事の詳しい事を連絡しますから」 神田は立ち上がる。 「椿屋の引越しよろ!」 神田に手を振る伊佐坂。 「玄関まで送ります」 一応、先輩。一応、上司。椿屋は神田と共に玄関へ行こうとする。 「椿屋、動くな」 「えっ?どーして?」 「お前、やる事あるだろ、見送りより」 「何かありましたっけ?」 「お前、聞いて無かったのか?神田を帰す理由はセックスする為だろーが!チンコだせ!」 「わあお!」 神田がニヤニヤしながら声を出す。 「今後の参考に見物したいです」 「神田さん……何言い出すんですか?そんなに欲求不満なんですか?」 「そうなんだ」 ニコッと微笑む神田。 『なんてな!伊佐坂先生が不機嫌になる前に帰ろう』 心の声は違うようで、玄関へと向かう神田。 「じゃーな!」 伊佐坂はその後ろ姿に手を振る。 椿屋はその後を追う。 「こら、お前はチンコ出さなきゃなんねーだろ?」 伊佐坂は大声で叫ぶ。 「鍵閉めてきます!」 「ああ、そうだったな」 椿屋の返事に鍵を誰か閉めなきゃならないと納得した。 「じゃーな椿屋」 手を振って神田は出て行った。 ◆◆◆◆ 伊佐坂のマンションを出て神田は……椿屋とセックスかあ、いいなあ先生。 なんて思った。 俺も混ざりたかったな……椿屋、抱いたら可愛いだろうなあ。喘がせたいな。 エロい事は椿屋の前では考えないようにしている。なんせ、顔に出やすいから。 バレたくはないから、考えないようにしている神田だった。

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