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10話
心がモヤモヤする。
何でモヤモヤするのか、そのモヤモヤの正体を椿屋自身は気付かない。
さっきまで居たリビングへ戻ろうとする椿屋の手首を勢い良く掴んだのは伊佐坂。
そのまま、寝室へ引っ張り込む。
「ちょ、先生!!」
何するんですか!なんて聞かなくても大体が想像つく。
その想像通り、ベッドへ勢いに任せ投げられた。
華奢で女の子みたいな伊佐坂はこういう時、男なのだと思う。
うつ伏せのままベッドに投げられる形になるが、高いベッドなので痛くはない。身体がベッドのバネでビョン!と跳ねた。
直ぐにうつ伏せから仰向けに体勢を変えるとその上に飛び乗られ、「ぐえっ」なんて変な声が出てしまった椿屋。
「なーに拗ねてんだよ?」
上に乗っている伊佐坂はギュッと椿屋に抱き着く。
「拗ねてなんていませんけど?」
「その声のトーンが拗ねてますって言ってるけど?」
「だから拗ねてませんってば!降りてくださいよ」
「嫌だね!拗ねてる理由言うまで離さない」
ギュッと力を入れる伊佐坂。
「本当に拗ねてないですってば!」
椿屋は身体を起こしてしがみつく伊佐坂を引っぺがそうとする。
でも、力強くしがみついて離れない。
「椿屋は分かりやすいんだよ、声のトーン変わるし、顔もな」
「そ、そんなわけないでしょーが!神田さんとか会社のスタッフは俺の事分かりにくいって」
「そりゃお前をちゃんと見てないからだろ?お前は単純だよ、見てて分かりやすい」
なんじゃそりゃと椿屋は思う。
相手の考えている事が分かるから先回り出来る自分を親でさえ、「アンタ、本当、分かりにくいわね」と言う。
表情さえ読み取られた事はない。
顔に出さないように注意しているせいもあるけれど。他人に1度足りとも読まれた事なんてなかった。
いつもは自分が先手を打つ側。
だから伊佐坂の言葉には驚く。
「た、例え俺が拗ねてても先生には別に何も影響ないでしょ?」
「ある!」
即答された。
「何ですか?」
「面白くない……あ、拗ねた椿屋も可愛いから面白いけど、でも、拗ねられたら気になるだろ?普通、お前、俺が拗ねたら気にならないのか?」
伊佐坂は顔を上げて椿屋を見つめた。
気になるか気にならないか……どちらかだったら「気にはなりますね」が答えだ。
「それと同じ理由だよ」
その言葉に納得はするが自分を気にしてくれる伊佐坂の気持ちが読めない。
自分が気になるように伊佐坂も気にしてくれる……それは側に居るからだろうか?
それとも、その先に何か他の理由があるのだろうか?それがまだ分からない椿屋。
「で?何で拗ねてんだよ?」
「また、そこに戻るんですか?」
「そうだよ、早く理由言えよ」
「拗ねてないから言えません」
椿屋は頑なだった。
だって、本当に拗ねている理由が分からないから。
そもそも、俺……拗ねてんの?と自分に問いかける。
「本当、素直じゃねーなクソガキ」
伊佐坂はそう言うと椿屋にいきなりキス。
しかも、キスして直ぐに舌を侵入させた。
「んっ」
舌を入れられた椿屋は声を漏らす。
くちゅくちゅと絡んでくる舌……絶妙な舌使い。
椿屋は両手を伊佐坂の背中につい、回してしまった。
クセというか本能というか……背中に両手を回すと自分からも舌を絡ませた。
しばらくはディープキスを味わう。
そして、唇を伊佐坂が離すと「こっちは素直だな……名前通り」と言われた。
「まあ、椿屋のこういうとこ俺は気に入ってるぜ?野獣なとこ」
伊佐坂は力を入れ、椿屋を押し倒す。
「椿屋……これ、脱がせたくね?」
椿屋の上でスカートを捲る。
「先生……の方が野獣でしょーが!」
「お前が望むなら野獣になってやるけど?」
ニヤリと笑う伊佐坂。
「どう野獣になるんですか?」
「そりゃ聞かなくても分かるだろ?お前のチンコを後ろの口で食っちゃう系の野獣」
「先生……元気ですよね?何回やれば気が済むんですか?」
「元気ならお前もな……っていうより椿屋若いんだからもっと頑張れよ」
伊佐坂はシャツの上から椿屋のチンコを掴む。
「ちょ、俺もう出ませんよ……」
「椿屋のいくじなし!」
「そんなハイジみたいな言い方……」
「お前、ハイジ世代じゃねーだろ?」
「小さい頃見てましたよ、DVDとかにもなってるでしょ?」
「まあ、俺もハイジ世代じゃないけどね……じゃあ、クララが立ったじゃなく椿屋Jrが起った……ってやってやろうか?」
「下品です」
「エロスに上品はいらねーだろーが!」
伊佐坂はシャツの上から弄り始める。
「ちょ、先生……ぇ……」
さっきまでケツを弄られていた椿屋は直ぐに興奮したように頬を紅潮させた。
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