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15話

ああ!もう!どいつもこいつも! 寝室へ逃げた椿屋は服を脱ごうとするが脱ぐとここには制服しかない。それかさっきまで着ていたシャツ。 くそう!! 出て行くとまた、アイツらの玩具になる。 椿屋はベッドの中へと入り、シーツをかぶった。 べ、別に隠れているわけじゃないし……かくれんぼなら直ぐに見つかる間抜けな場所。 でも、出ていくと……それを考えるとせめて、神田が帰るまでは……と考えた。 伊佐坂先生も何考えてるんだか……わざわざ神田さんに買い物頼むとか?そんなにコスプレでやりたかったのかよ?ちくしょう!! 新しく買ってこさせたのは俺が着ないって言ったからだよな? 心がモヤモヤして……絶対に着たくなかった椿屋。 そのモヤモヤの理由はコスプレが嫌だから!という事に思い込んでいるが、ヤキモチだとは気付いていない。 ◆◆◆ 「椿屋戻ってこねーな?逃げるにしても玄関は反対側だしな」 寝室の方を見つめる伊佐坂。 「先生、有料の動画の続きくださいよ、自腹で買ってきたんですから」 「神田……お前ってムッツリだな」 「いえ、ガッツリエロいですよ?」 ニコっと微笑む神田。 「お前は俺と同じ臭いするけど、イケメンだったらセフレにしてる」 伊佐坂はスマホをいじり、動画を捜す。 「何ですかそのイケメンだったらって結構傷つきますけど?」 「いいやん、結婚してるんだから」 「意味わかりませんけど?」 「イケメンじゃなくても結婚してるってとこは他のイケメンじゃない独身野郎共より一歩リードしてるやろ?」 「……先生ってとことん攻めてきますよね?ネコのクセに」 「神田はタチだよな……本当、イケメンだったら即やってる」 伊佐坂はスマホの画面を神田に見せる。 「くださいソレ!」 神田は画面に食いつく。 「椿屋には内緒な」 「もちろんですよお!……椿屋って美味いですか?」 画面をニヤニヤしながら見つめる神田。 「上手い?エッチが?」 「いや、不味い美味いの美味い……あーあ、俺も密かに狙ってたんだけどな先生に持っていかれるなんて」 「神田より先に手に入れて良かったよ。椿屋は美味いぜ?今までの野郎の中で1番かな?」 「……椿屋、やらしてくんないかな?」 「神田、それ問題発言だぞ?人気作家の恋人とやりたいとか」 「セフレでいいんですよ、やれれば、ぶっちゃけ身体目当てだから」 「神田」 伊佐坂は神田を見つめて「お前のそういうとこ嫌いじゃないけど、やらせない」とニコっと微笑んだ。 動画を送った伊佐坂は寝室へと様子を見に行く。もちろん、神田もついてくる。 ベッドの上、シーツにくるまる物体が。 物体は椿屋。 近付いてシーツをめくると椿屋は熟睡していた。 「わあお!美味そう」 神田は椿屋の寝顔をスマホで撮る。 「なんで、コイツ……熟睡してんだ?逃げたくせに」 「可愛いとか思ってるんじゃないですか?」 神田は既に10数枚寝顔を撮っていた。

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