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24話

神田は時間通り、伊佐坂のマンションに着いた。 入口のインターフォンを鳴らすが無反応。 んん?時間通りなんだけどなあ?とスマホで伊佐坂に電話しながらまた、チャイムを押す。 数コールで伊佐坂が電話に出て、インターフォンには椿屋が出た。 同じタイミングで神田は笑ってしまった。 「あ、神田さん、直ぐに開けますね」 椿屋の声の後、入口のドアが開いた。 「お前空気読めよ」 中へ入る神田の耳に届く伊佐坂からの苦情。 「10時に来いって言ったのは先生ですよ?」 「セックスしてたんだよ」 「混ぜてくださいよ、3Pとか楽しそうじゃないですか」 歩きながらに言う。 「確かに楽しいよな、気持ち良さが倍くるから」 「先生、やった事あるんですね」 「俺を誰だと思ってんだよ」 「伊佐坂先生です!BLのネタにいいと思いますよ?ノンケの王子様を男2人で開発するってやつ、俺が突っ込むんで先生は突っ込まれててください!後ろから突くから椿屋が揺れていい感じだと思いますけど?」 「ほんと、お前変態だな!」 そう言うと伊佐坂は電話を切った。 ちえっ、ガード固いなあ!! そう思いながら神田は伊佐坂の部屋の前に着いた。 インターフォンを押すと直ぐに開いた。 「すみません神田さん」 顔を出したのは椿屋。 素肌にシャツ……しかも、ボタンが途中までしかとまっていない、慌てて着たって感じでボタンが掛け間違えている。 しかも、下は……? シャツの裾が太ももを隠しているがズボンではない。素足! 椿屋の顔は赤らんでいる。 そう!まるでセックスをたった今までやっていました!!!みたいな……。 「椿屋、ボタンかけ間違えてんぞ?」 冷静というか無な心でシャツに手を伸ばす。 そのボタンを直してやろうとするが「わあ!そうでしたー!」と椿屋はくるりと背を向けて走っていった。 シャツに薄らと尻の割れ目が…… なん……だと!!!! 穿いてないだとおおお!!! 神田は急いで靴を脱ぐと椿屋の後を追いかけた。 「神田あ!」 その前に立ちはだかる伊佐坂。 伊佐坂もシャツ1枚だった。 「先生もシャツ1枚ですか?椿屋もでしたね?写真撮り忘れてた」 「金払えよ」 「払ったら撮らせてくれるんですか?」 神田の瞳がキラキラ!! 「とりあえずは運転しろよ、着替えてくるから」 ◆◆◆ しまった!神田さんの前で危うくポロりしそうだったじゃんか!! 自分がシャツ1枚だというのを忘れていた。 慌てて服を着る。 「お前ってさ無意識小悪魔だよな」 真後ろで伊佐坂の声。 「は?」 何を言っているのだろう?と振り返る。 「そんなシャツ1枚で対応されたら、誘ってるって思うだろーが!しかも、そんなセックスした後です!みたいなとろけ顔」 「……とろけ顔、どんな顔ですか!」 「こんな顔だよ!」 伊佐坂に鏡を見せられた。 そこに映る自分は確かに頬が紅く……。 「さすがの神田も野獣になるから気をつけろ!アイツ、欲求不満だから」 「はあ?神田さんは男の俺なんかに欲情しないですよ!」 「クソが!」 捨てセリフを吐かれた。 なんで?この人は舌打ちして怒ってるのだろう? 「無自覚野郎ほど、隙が甘いし、いつかはやられるな」 「はあ?そりゃ、先生にはやられてますけど……他には」 「お前は俺から離れるなよ」 背中をポンと叩かれた。 「何すかその、イケメンみたいなセリフは!!」 「お前は俺の王子だからな」 ニヤリと笑われた。

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