80 / 106

28話

車が止まり伊佐坂はグラマー美人に駆け寄る。 「姉ちゃん」 「ダン!!あんた、もう!せっかく来たとに居らんとやもん」 「ごめん、でもなんで?」 「下着頼んだやん?今日届くって言うたやろ?」 「そうけど、郵便だと思ってたし」 「下着ついでに王子様ば見に来た!っていうか冷やかしにきた」 「そんなハッキリ……」 伊佐坂の姉は大型のキャリーバッグに紙袋を持っている。 そして、車から降りてこちらに向かってくる椿屋に気付く。 「あいやー!!これまた写真より良か男やん!!」 姉の目はキラキラと輝く。 ◆◆◆◆ 場所を伊佐坂の部屋に移動。 椿屋はお茶を用意。 キッチンに立つ椿屋を見ながら「あんた、良い嫁貰ったねえ」としみじみと呟く。 「だろ?飯美味いし、家事も完璧」 「やっと、落ち着く気になったわけね」 姉は大型キャリーバッグを横倒しにすると中を開ける。 丁度、椿屋が人数分のお茶を持って来た時に中身が披露された。 「お土産の地酒とね、通りもんやろ、あとは」 姉は頼まれた下着をバサっと広げた。 「おおっ!!」 声を上げたのは伊佐坂でも椿屋でもなく、何故か上がり込んでいる神田だ。 「じゃーん、新作!!絶対にダンに似合うと思ってさ」 上下お揃いの可愛い下着を広げる。 「へえ、可愛い」 「でね、王子様にも」 姉はお茶を持って立っている椿屋の股間に持ってきた下着をあてた。 「ちょ!!!」 「似合う!!」 神田と伊佐坂の声が揃う。 『ほんと、良か男ねえ……いい感じに美味しそうだし……味見したいけど、ダンちゃんの彼氏だしなあ……残念』 姉の心の声を聞いた椿屋は目の前のグラマーな美人は紛れもなく伊佐坂と血が繋がっていると確信した。 ◆◆◆ 「改めまして、初めまして壇十郎の姉で宙の母の瞳です」 正座して頭を下げる姉に椿屋も慌てて頭を下げる。 「瞳ちゃん久しぶり」 神田は姉と知り合いのようで仲良しな感じだ。 「知り合いなんですか?」 「同級生」 「は?」 『元カレ』 『元カノ』 姉、瞳と神田の心の声が同時に聞こえてきた。 「は?」 「お前、何回、は?って聞いてるん?」 心の声が聞こえているとは知らない伊佐坂は2回連続で「は?」と聞いた椿屋をつついている。 「瞳ちゃん、下着のデザインやって、店やってんだ」 神田の説明。 「は、はあ……」 その説明よりも元カノ、元カレが気になって仕方ない椿屋だった。

ともだちにシェアしよう!