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29話
「ダンの下着はほぼ、私のよ」
ニコニコと微笑み下着を見せる瞳。
「王子の分も一緒に持ってきてるから穿いてね。下着もセックスする時の重要アイテムだからね!」
『我が弟ながらヤリチンだけどね』
瞳の言葉も凄いが心の声も凄い……。
「あの、俺……」
付き合っていません!と言うべきなのだろうか?そもそも、自分の話が家族に伝わってしまっている感が……なんとも逃げ出したい気分である。
「野獣なんでしょ?」
ニヤニヤする瞳。
『こんな王子顔みさで野獣とか野獣とか野獣とか美味しいんですけどおおおお!!!』
くっ!!心の声がセクハラ過ぎて死ねる!!椿屋はもう逃げたい。
「おいおい、瞳ちゃん野暮な事聞いちゃダメだろ?椿屋顔赤い」
『ほんと、可愛いよな椿屋……やりまくってんのに照れるとか』
耳を塞ぎたい……本気でそう思った。
「野獣だよ椿屋は……」
伊佐坂が何か続けようとしているのを察して椿屋は彼の口を塞ぐ。
「何言う気ですか!やめてくださいね……お姉さんの前なんだから」
口を塞いだままに言う。
「やだあ!お姉さんとかあ!!気が早かねえ!でも、良かよおお!!お姉さんって呼んでもおおお」
『王子からお姉さんとかお姉さんとか!いいわあ……』
興奮気味の瞳。
心の声も興奮気味だ。
「瞳ちゃん、怖いくらいに興奮してるね」
神田はあははと笑っている。
『いいなあ……俺は淳くんって呼ばれたいかも』
神田の心の声。淳(じゅん)は神田の名前だが、誰に対しての言葉なのだろうかと椿屋は思う。
まさか……お姉さんに?
だめ!!だめだめ!不倫は!!例え、元カレ元カノでも。
椿屋は頭を振る。
ぺろん……。
頭を振ったと同時に手のひらにぺろんと生暖かい感触が。
「うわあ!」
思わず、伊佐坂の口から手のひらを外した。
ベッタリと唾液。
舐められたのだ。
「なにするんですか!!」
「えっ?舐めて欲しくて口に手をあてたんだろ?お前、俺から舐められるの好きだもんな……朝も舐められてトロンとした顔してた」
「うわあ!!!」
椿屋は叫ぶとその場から逃げた。
逃げたのは寝室だったのだけれど、とにかくその場から消えたかった。
朝……やってしまったのを神田と瞳に知られた……死ねる。恥ずかしくて死ねる。
「あーあ、逃げちゃった」
瞳は椿屋の後ろ姿を見送った。
「本当にラブラブなんですね、先生と椿屋は……羨ましいなあ」
神田も椿屋の後ろ姿を見送って呟く。
そして、伊佐坂は椿屋の後を追うのだ……よって、2人もついていく。
◆◆◆◆
あああ!!先生のばかあ!!何もお姉さんの前で言う事ないのにいい!!
椿屋はベッドの中に潜り込んだ。
寝室に逃げ込んだ椿屋を追ってきた伊佐坂。
ほんと、可愛いやつめ!!
ちょっとからかうとこれだからな。
伊佐坂はベッドへとダイブした。
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