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4話
後片付けは瞳と宙がやってくれた。こういう時、女性は率先してやってくれたりするから嬉しい。
「神田、お前、いつまでいる気だよ帰れ」
「先生冷たい……」
『家庭も冷たいけどな』
伊佐坂に返事をする神田の心の声が気になる椿屋。
前からちょいちょい、気になる声を聞いていたから気になってはいたが……神田は上手くいっていないのだろうか?
ここに来る度に帰りたがらない。
「瞳ちゃんはどーすんの?飛行機もうないだろ?」
神田の言葉で今の時間が9時過ぎている事に気付く椿屋。
「宙の部屋に泊まる!その気できたし」
『旦那ものんびりしてこい言うたしな』
「ちぇ、帰るのは俺だけか」
『帰りたくねーなあ』
心の声に椿屋は神田が凄く寂しそうに見えてしまう。でも、泊まっていいですよ?なんて言えない……なんせ、伊佐坂の部屋だ。
「椿屋とセックスする時間少なくなるだろ、帰れ」
「ちょ!!!せんせえええ!!」
椿屋は慌てて伊佐坂の口を塞ぐ。
「あらあ、ごめんねえ……私達も直ぐに帰るから」
『若いっていいわあ……王子の野獣なとこみたいなあ』
瞳がニヤニヤして椿屋を見ている。
隣にいる宙は顔が真っ赤。
「ちくしょう!こっちは欲求不満なのに」
『いいなあ!エッチいいなあ!!したーい!』
神田の心の声に椿屋は……ああ、夫婦間は冷めているのだな。と同情する。
「ちちち、違いますからしませんから」
椿屋は真っ赤な顔して否定する。
伊佐坂はモゴモゴ言っている。きっと、下ネタを言うに違いない。
「王子、顔真っ赤よお!本当に可愛いわねえ」
『ああ、ほんと、味見したーい』
「お、お母さんダメだよ!もう帰ろう」
『ほわあ!ダンちゃんと椿屋さん……想像しただけで鼻血でそう』
瞳と宙の心の声にさらに顔が赤くなる椿屋。
「原稿貰えなくなるの嫌だから帰るよ」
神田は立ち上がり椿屋を見つめる。
『今からセックスかあ……いいなあ。俺もやりたい……』
そんな事を思いながら見ないで欲しい!と椿屋は視線をそらす。
「私達も帰るわね」
瞳は洗い物を終えるとそう言う。
「あ、ダン、これ使って」
瞳は思い出したように鞄が置いてある所へ行き、ゴソゴソと探している。
『きっと、気に入ると思うんだあ……できたら、私が王子で試してみたかったけど』
瞳の心の声が聞こえ……使って!と言って探しているものが何なのか分かった気がする椿屋。
『あった!これこれ』
瞳は袋を手に伊佐坂と椿屋の元へ来て「はい」と渡してきた。
受取る為に伊佐坂の口から手を離す椿屋。
「なに?」
椿屋が受け取った袋を開けた椿屋はニヤリと笑い「ありがとう!使う」と返事をした。
椿屋も中身が気になるが勝手に覗くわけにもいかない。伊佐坂へのお土産だから。
「気になる」
神田も椿屋と同じのようで興味津々な顔。
「姉ちゃんが持ってくるものって分かってんだろ?ほら、早く帰れ!使うんだから」
伊佐坂は神田を追い払う。
「うふふ、じゃあね」
『夜はこれからね』
椿屋は瞳のニヤニヤ顔でもう、何かが分かった。
3人が玄関へ向かったので、見送りに行く椿屋。
このまま……逃げたい!!と思う。
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