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5話

玄関まで見送ると瞳に外に出るように手招きされた椿屋。 「宙、先行ってて」 と娘を先に行かせる。 「あんたもよ!」 瞳の横に当然のように立っている神田も追い払う。 2人が行った後、瞳は「弟をよろしくお願いします」と頭を下げた。 椿屋はいきなりで驚いてしまう。 「えっ?あの、」 そもそも、恋人でもなんでもなく……多分、奴隷かペットかな?と思っている。 「あんなに笑っているとこ……初めてみたの」 『本当に楽しそうだったな』 瞳の心の声が嬉しそうで、本当に嬉しいのだなっと思う。 「我が弟ながら可愛いし」 『変態だけど』 「ちょっと、変わったとこもあるけどいい子なの」 『ものすごーくエロいけど』 瞳の心の声の方に気を取られそうになりながら椿屋は頷く。 「あの子、子供みたいでしょ?綿あめとか子供みたいなのを喜んで……キャラ弁だっけ?あれも嬉しいみたいだったわ」 『1番楽しい時に学校行けなかったから……』 えっ?と瞳の心の声に反応してしまいそうになる椿屋。 学校に行けなかった?どういう事だろうか?病気とか? 「椿屋くんならあの子の心の隙間埋めてくれそうで良かった……今までの相手はほんと、エッチな事以外していないと思うから、椿屋くんみたいなハイスペック持ってる人って中々居ないもんね」 『外に頻繁に出れるようになったみたいで安心だわ……本当に良かった。あんな事件なかったら普通の子供で居られたんだろうけど……』 んん?お姉さん……その心の声の方を詳しく!!と椿屋は言いたかった。 「あ、あの、先生ってあまり外行かないじゃないですか、めんどくさいって……あれは本当にめんどくさいからだけですか?」 まさか心の声を聞いたので気になってとは言えない椿屋。 「えっ?あっ……そうねえ……」 『そこ突っ込んでくる?』 瞳は挙動不審になり始めたので聞いてはいけない事なのかと感じる。 「えっ、あの……気になっただけなので」 椿屋は笑って誤魔化す。 「そう?じゃあ、おやすみ」 『ダンちゃんに聞いて……とは言えないしなあ』 瞳はそそくさと逃げるように行ってしまった。 ……めっちゃ気になる! 瞳の心の声が気になって仕方がない椿屋。 「おい!いい加減、中に入れよ」 伊佐坂がドアから顔を出す。 「はい、すみません」 慌てて中に入る。 伊佐坂に聞くのはきっとNGだろうと椿屋は思う。 瞳の心の声からして聞いてはいけない事。他人の椿屋が入ってはダメな領域。 でも、気になる。……あんな事件?どんな事件? 神田は知っているのだろうか?瞳の元カレなら随分前から伊佐坂を知っているはず。 聞く? えっ……何の為に? 自分の興味を満足させる為? そんな理由で踏み込んではいけない……。 「椿屋、玄関にいつまでいるんだよ、とっとと来い!」 「えっ?あ、」 慌てて靴を脱いで部屋へと戻る。 「なあ、綿あめ食べたい」 伊佐坂の可愛いおねだりが始まる。 「ダメですよ!明日にしましょう?」 「いやだ!」 即答される。まあ、いつもの事。 「明日は違う味作ってあげますから」 「えー、今がいい!!」 まるで子供だ。 ふと、瞳が子供みたいでしょ?と言ったのを思い出す。 確かにこういう所は子供だ。あとはエッチな大人。 普通の大人がこんなに駄々ってこねるものだろうか? 「綿あめがクルクルって回ってできるの初めて見るんだよ!俺もしたい!綿あめは椿屋が食べればいいやん!」 えっ、あ、クルクル回るのが見たいだけなのか? 「分かりました!」 「やったあ!」 椿屋の返事に無邪気に嬉しがる伊佐坂。 ほんと、可愛い……。 子供っぽくなるのってやはり理由があるのだろうか? つい、いけない事と思いながらも考えてしまう。

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