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6話

「結構難しいんだなあ、椿屋が簡単そうにするからさ、簡単なんだと思っちゃう」 伊佐坂は機械から出てくる綿あめを棒にからませているのだが上手くいかない。 でも、楽しそうにワクワク顔だ。 「もうちょっと、こう」 椿屋は伊佐坂の手に自分の手を添えて巻き取る。 「あ~なんだかコツつかんできたっぽい」 ニコッと笑って椿屋の方へ顔を向けるとかなり近い!なんせ、後ろから手を回しているから。 目が合って暫く見つめてしまう椿屋。 瞳の心の声が気になるのだ。 何があったのだろう?って……気になって仕方がない。 「おい、チュウでもして欲しいのかよ?そんなに見つめて」 「あ、いや……」 伊佐坂の言葉に我に返り綿あめを完成させた。 「雲みたいだよな」 子供みたいな事を言う伊佐坂。こういう時は本当に子供っぽい表情を見せる。 パクと綿あめを食べる伊佐坂。 食べ方が可愛い。 「椿屋」 名前を呼ばれてそちらへ顔を向けると唇が触れた。触れた瞬間、甘い味がした。 「チュウして欲しかったんだろ?」 ニヤリと笑う伊佐坂は何時ものエロい彼で、無邪気な子供っぽさが消えた。 「そんな顔してました?」 「してたよ、何か聞きたそうな顔」 うっ!!この人、鋭いの忘れてた!!と椿屋は平常心でいようとするが「姉ちゃんに何か言われた?」と聞かれ、つい、視線を外してしまった。 「別に……先生をよろしくってお願いされただけです」 「姉ちゃん過保護だな……まあ、心配ばっかかけてるからな」 「そんなにですか?」 「そんなにって失礼だな!男問題とか男問題とか……だな」 「男問題ばっかじゃないですか!」 伊佐坂の発言にちょっと、ムッときた椿屋。 男、男って……確かに先生はモテるけどさ、お姉さんが心配される程に男問題があったって事かよ!!ちくしょう! なんだかムカつく。 「何拗ねてんだよ?椿屋ってさ、本当に嘘つけないよな?」 フフっと笑う伊佐坂。 「今は椿屋だけだぜ?あと、結構本気でいいなあって思ったのも椿屋だけ」 伊佐坂は椿屋の目の前に行くと彼の唇を指でなぞる。 「嫉妬とかしてくれんの?」 「えっ?」 声を出したので伊佐坂の指先は首のラインをなぞる。 「俺の男問題気になるんだろ?」 「気になりませんから!!」 プイっと横を向く。 「姉ちゃんが心配するのは俺が野郎に襲われやすいからだよ!まあ、返り討ちにするけどさ……過去、姉ちゃんの彼氏にやられそうになったりしてたから」 「は?」 伊佐坂の言葉に驚いて椿屋は視線を戻す。 「襲って来なかったのは神田くらいかな?俺って可愛いだろ?妹だと思って押し倒したらチンコありました的な?」 「なんすか……それ……」 驚くというより怒りが込み上げてきた。 「あとは男の子って知って押し倒してきた奴もいたな……ほぼ、俺か姉ちゃんに半殺しされたけどさ」 ちくしょう!と思った。その時、知り合っていたら自分が助けたのに!と思ってしまう。 「姉ちゃんはさ、母親代わりでもあったし」 「……えっ?」 「母ちゃんが女を優先する生き物だったわけよ!子供いるのに遊んでばっか!姉ちゃんに乳飲み子だった俺を預けて遊びまくってた……まあ、そのせいで離婚になったんだけどな自業自得」 あっ……それでなのかな?子供が好きそうな食べ物を欲しがったり、キャラ弁を喜んだり。 ああ……そっか。 思わず椿屋は伊佐坂を抱き締めていた。

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