3 / 5
3
明かりを落として、優大と一緒にベッドに向かう。
優大の頬にキスをして、ベッドの上のスマホをテーブルに移動させる。
ベッドに戻れば、さっき優大が投げたバスタオルが床に落ちている。
「バスタオル、椅子に掛けて‥‥」
「いいよ、そのままで。‥‥直希。」
優大が俺の服を脱がせて、俺が優大の服を脱がせる。
優大が俺の勃ち上がったのに触ってくるから、俺も優大のに手を伸ばす。
「熱くなってる。」
「直希のもな。」
優大が俺の手を引きながらベッドに腰掛ける。
俺も、並んで。
そのままキス。
優大の舌に導かれるまま口を開ければ、その優大の舌が俺の口に入ってくる。
舌と舌が触れる。
舌と舌が絡まる。
流れ込んでくる唾液を飲み込んで。
‥‥あれ、優大の唾液って、こんなに甘かったっけ?
「どうした?」
「え、なに、」
「急に動かなくなるから。」
「‥‥優大って、こんなに‥‥甘かったっけ?」
「なんだよ、俺はいつでも直希には甘いだろ?」
もう一度、優大からキス。
‥‥甘い。それから、熱い。
舌ってこんなに厚みがあった?
キスってこんなに音がした?
頭の奥が、白く透き通るような感覚。
優大の手が体を這う。
‥‥違う、こんな、ビリビリするのなんて、知らない!
いつもなら体の奥が熱くなって、頭が溶けてくるのに!
優大の手を払って、優大に抱き着く。
胸に頬を当てて、優大の匂いを‥‥
‥‥ああ、今日は、無いんだ。
‥‥優大の匂いが、無い。
この優大は、俺は、知らない。
なんだろう、怖い?
‥‥うん、ちょっと怖い。
背中に回した手と頬とで挟み付ける様に優大を抱き締める。
「本当に、どうしたの?甘えてるの?」
「‥‥匂いが、」
「ああ‥‥風呂入って、ごめんな。」
「ううん、‥‥ううん。」
優大をベッドに押し倒す。
俺の下で優大が困ったように笑っている。
「いいよ、直希。好きに動いて。」
優大の唇にキス。
いつもなら強く匂う首筋にキス。
鎖骨に、肩に、心臓の上に‥‥
‥‥‥‥今まで知らなかった。
優大の体、綺麗だ。
目立つ程ではない筋肉と決して多くはない脂肪が、バランス良く体を包んでいて。
こんなに滑らかだったんだ。
こんなに弾力があったんだ。
舌でたどれば骨の位置が分かる。
優大の速い鼓動さえ。
臍まで降りて、脇腹、腰、鼠蹊部、腿。
艶があって、瑞々しくて。
‥‥美しい。
こんなに美しいものを創った存在があるとすれば、それは‥‥
‥‥神様に違いないんだろう。
美しくて、神々しくて、胸が痛い。
優大の体の先へ先へと舌が追いかける。
満たしたいこれは、たぶん性欲じゃ、ない。
なんだろう、舌が追いかける、これは‥‥
‥‥‥‥これは。
瑞々しくて、美しくて、これは。
これは、神が創った果実だ。
神様が、俺に与えてくれた、禁断の果実。
今まで気付かないでいたんだ‥‥
こんな、手の中にあることが奇跡の様な、神の果実‥‥
触れている舌が柔らかく痺れる。
腿から脛へ、そしてつま先へ‥‥
「直希、直希、‥‥なおき!」
顔を上げると、心配そうな優大の目。
「‥‥っ、ゆうだい‥‥」
「直希、泣いてる?」
優大が上半身を起こす。
屈み込んだ俺を真っ直ぐにして、股間に手を伸ばしてくる。
「直希、縮んでる。」
「‥‥あ、」
「嫌がってる訳じゃないよね。」
「うん。」
「‥‥何か困ってる?」
「‥‥うん。」
「どうしたの。言って。」
「‥‥優大が‥‥」
「俺が?」
「‥‥‥‥優大は、俺にとって、奇跡、なんだなって、」
「奇跡?」
「優大、俺、優大の事、大切にするから。」
「‥‥うん。」
「優大の事、何よりも大事にするから。」
「うん。‥‥直希、膝に乗って。」
「うん。」
優大の伸ばした足にまたがって、優大にしがみつく。
肌と肌が触れる様に。
奇跡をこの身に染み込ませる様に。
「俺も。俺も直希が何よりも大事だよ。俺があげられるものなら何でもあげるよ。‥‥だから。」
優大に体を起こされる。
そして、キス。
「俺にも、直希をちょうだい。」
「優大‥‥」
降り注ぐキス。
唇に、頬に、耳に、首筋に。
‥‥体の奥が熱くなってくる。
頭の奥が蕩けだす。
でも、いつもと違うのは‥‥
胸が熱くて、痛いんだ‥‥
ともだちにシェアしよう!