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逢望学園へ
逢望学園は少し町から離れた緑の多い避暑地的な場所にある。
空気が澄んでいて気持ちいいな。俺は父親の車で逢望学園まで送ってもらった。
大きな正門を通り学園内に入ると、父さんが思わずといった風に呟いた。
「おい……なんちゅーか、すごいな」
学園の駐車場にはぴかぴかの高級車とビシリときめた運転手がゴロゴロしていた。
うちは姉ちゃんと俺の二人姉弟で、車はファミリーカーだ。父さんはちょっと腰が引けたみたい。
俺には目的があるので、金持ちの中に平民一人ぼっちだったとしても全く気にならないけどね。
学生寮の外観は、まるっきり高級マンションだった。父さんはポカンと口を開けて「うちより豪華じゃないか」と呟いた。
寮は二人部屋で個室が二つ、キッチンと風呂は同室者と共同。今は外出してるみたいだけど、俺の同室者はすでに寮入りしていて、奥の部屋を使っていた。
俺と親父は荷物を部屋まで運んで、ざっと荷解きをした。細かい物は明日自分でやるから大丈夫って、俺は父親を玄関で見送る。
「……じゃあな、勉強大変だと思うけど、がんばれよ」
もともと中の上レベルの成績だったのを、ほぼ運だけで受験突破したからね。
「うん。ありがとう」
「お前は昔から要領も運もいいからなぁ」
少し心配そうに微笑んで、父さんは俺の頭をぽんぽんと優しく叩いた。
「さて、と」
父さんを見送ってから時計を見ると、もうすぐ六時だ。ちょっと早いけどご飯にしようかな。
寮の隣には食堂があった。食堂といっても、お洒落なカフェみたいな感じだ。
現金は持ち歩かずに、IDカードで支払うんだって。
もはや何でも屋レベルのコンビニもあって、自炊派の為の食材や、ノートや辞書やらも購入できる。ついつい買いすぎちゃわないように気をつけなくちゃ。
うちはお金が余ってるわけじゃないからね。俺は気を引き締めて食堂へ向かった。
「げっ、なにこれ」
メニューを見てぎょっとした。
普通の学食レベルのものもあるけど、二千円とか三千円とか「高校生の値段じゃねぇよ!」ってレベルのステーキ定食とかあった。
ちょっと気になるけども……俺はうどんとお稲荷さん一個を注文した。
安いやつを選んだけど、めっちゃ美味しかった。けど毎回食堂ってわけにもいかない。食費は節約しないとね。
俺はコンビニで食材を買って帰ろうと思い、食堂を出て歩いた。
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