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意地悪な罠1
入学式から二週間が経った。
Cクラスといえど、俺は授業についていくのにいっぱいいっぱいだ。
ここで意外な事実が発覚した。
「ここはこうなんだよ」
「なるほど」
あっくんは頭が良い。
素行の悪さ故のCクラスらしい。
なので、分からないところは授業が終わってすぐに教えてくれる。
不良チームをまとめていただけあって、面倒見もいいし。それに……
「高城君。僕たちも教えてもらっていい?」
「ぁあ?」
「いいよね、あっくん。俺も教えてほしいし」
クラスメイトの美少年たちが群がってきた。
あっくんはめんどくさそうな顔をしながらも質問に答えていた。美少年は頬を染めてる。
意外にもあっくんは人気があるのだ。
中等部から上がってきた子に教えてもらったけど、男子校だけあって男同士で付き合うことも多いらしい。
最初は皆あっくんを遠巻きに見てたけど、俺があっくんと仲良くしてるのを見て近寄ってきた。クラスに馴染めてよかったよ。
「おい、キヨ。帰るぞ」
「あ、うん」
俺とあっくんは毎日一緒に登下校してる。
「ねえ、他の友達のとこに遊びに行く時は遠慮しなくていいからね。門限だけ守ってくれれば」
「友達なんかいねぇよ」
「えっ? でも……わっ」
あっくんは俺の首根っこを掴んで歩きだした。
「あいつらはそんなんじゃない」
あっくんにとって友達とは不良のことなんだろうか?
それはそれで心配だ。真面目な友達も作ってほしいのに。
「あっくん。不良ばかりと付き合ってちゃ心配だ。真面目な子とも仲良くしてほしい」
「お前、おかんかよ」
あっくんはため息をついて、俺の肩を抱いて引きずるように寮まで歩いた。
ああ、これじゃあ不良とカツアゲされてる子供だよ。またイメージダウンだ。
そんな俺の心配とは裏腹に、周囲の目には俺とあっくんの関係が全く逆に見えていたなんて、この時の俺は知るよしもなかった。
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