15 / 56
意地悪な罠3
お昼休み、俺とあっくんはいつも教室でお弁当を食べてた。もちろんお弁当は俺が作ってる。
食費もちゃんともらってるし……とゆうか、あっくんはちょっと多めに払ってる。
こんなにいらないって断っても、調理の手間賃だって言ってきかないんだよね。あっくんは硬派な男子だ。
「二人はいつもお弁当だけど、田村君が作ってるの?」
二人でお弁当を食べてたら、クラスメイトの美少年が話しかけてきた。
「うん。ほとんど昨夜の残り物だけど」
「ふ~ん。ねえ、明日は皆でカフェでランチしない? クラスメイトの交流会も兼ねて」
「うぜぇ」
あっくん、そんなばっさり断らなくても。
だが美少年は怯まなかった。あっくん大好きっ子なんだな。
「だって田村君、勉強追い付くの大変そうじゃない? なのに二人分のお弁当作ってるなんて、忙しいでしょ~。高城君、たまには田村君に息抜きさせてあげなくちゃ」
「…………そうなのか?」
あっくんが不安そうな目で俺を見た。
そんなことないよって言いそうになったけど、よく考えたら他の生徒とも仲良くなるチャンスだ。
あっくんは俺とばかりつるんでるし、他の友達も作るべきだ。
俺は清の生まれ変わりを探したいしね。
「そうだね。たまには学食で食べよっか」
「よかった~。明日のお昼は皆でカフェで食べよう」
「………………おう」
あっくんはしぶしぶといった風に返事をした。
約束を取りつけて美少年が去ったあと、あっくんは俺の顔色を伺うように聞いてきた。
「……キヨ、飯作んの大変か?」
その顔が子供みたいで可愛かった。
「ん? 一人分作るのも二人分作るのも同じだよ。美味しいって食べてくれるから嬉しいよ。それに、あっくんからお小遣いも貰ってるしね」
「おかんなのか、ガキなのか、わかんねぇキャラだな、お前」
あっくんは少し照れたのか、ぷいとそっぽを向いた。あっくんは俺の事をおかんみたいだと言う。
───あっくんなのかな。俺の清は………
だといいのに……。
同じクラスで同室だから、いろいろしてあげれるのが嬉しい。
俺の作ったお弁当をガツガツと食べるあっくんを見ながら、俺はそう思った。
ともだちにシェアしよう!