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初めてのキス1

 親衛隊の生徒が慌てて俺から手を離した。 「加賀美副会長様!」 「西園寺書記様!」  副会長と書記と呼ばれた生徒の方を見たら……あ! あの時のハーフイケメンと春馬くんだ! 「僕がランチに誘った。ここにいてかまわない」  ハーフイケメンが俺の肩に手を置いて、親衛隊を下がらせた。  てゆうか副会長だったのか。  よく考えたら入学式の時、体育館にいたのかもしれないけど、ぼーっとしてて気付かなかった。 「き、清道は、俺と一緒にいて」  春馬くんが俺の手を引っ張る。  小さい子みたいで可愛い仕草に、俺の中の母性がくすぐられちゃう。 「春馬くん、生徒会書記だったの?」 「う、うん」 「あ、ごめんなさい。タメ口利いちゃって」 「い、いい。清道は、友達だから」  春馬くんはフルフルと首を振って微笑んだ。  ほっとした俺をハーフイケメンこと、副会長が肩を掴んで振り向かせた。 「名前は?」 「えっ、田村清道です。あの時はお世話様でした。えっと、副会長様? のお名前は?」  おっと、アホな質問をしてしまった。 「加賀美だ。加賀美隆臣。座って。食べながら話そう」 「いえ、あの。皆の目が怖いので帰ります」  そうだよ。めっちゃ注目されてるし、生徒会長とチャラ男が睨んでるし。 「き、清道はこ、ここにいていい」 「待てよ。ここは生徒会役員専用の場所だ。西園寺、ルール違反だぞ。ただでさえお前には甘くしてるだろうが」  春馬くんがビクリと体を揺らした。  さすが生徒会長。圧がすごい。 「春馬くんは悪くないです。俺が無知だったせいで、すみません」 「行く必要はない。大徳寺、君だって影で好き放題やってるだろう。君と櫻小路の火遊びを黙認してやってるんだ。僕らにも口を出すな」 「ちょっと~、なに? そのおブス、二人のお気に入りなの?」  チャラ男が今度は興味津々に俺を見た。  こいつも生徒会役員なの? こんなホストみたいなのが? 世も末だ。  てゆうか、もうほんとに帰らせてください。  お願いします。さすがの俺も胃が痛くなってきちゃうよ。 「キヨ! なにやってんだ?」  異様な雰囲気など全く気にもせず、あっくんがズカズカと階段を上って中二階に来た。  これは……救世主か? さらなる修羅場か? 「おうコラ、馴れ馴れしく触ってんじゃねーよ!」  俺の肩に置かれていた副会長の手をぱーんっと叩き落とした。  おおっと、食堂がロシアみたいに凍りついたぞ。あっくんは破滅の使者だったようだ。

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