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親衛隊と八神先輩[side八神]
[side八神]
生徒会の親衛隊長と副隊長の会議の場に呼び出された。
昨日の茶番の説明をしろってさ。
もうバレてるんだよね。僕が田村を嵌めるよう仕組んだの。
さすがの情報網だ。
「八神君、君が千石先輩の代わりに高城君を崇めたい気持ちはわかるけど、田村君は関係ないだろう。風紀委員長の千石先輩はこういった揉め事が嫌いだ。知っているだろう?」
「少しからかっただけなんですが、田村君は勘違いしてしまったみたいで……以後、気を付けます。申し訳ありません。ですが、あの一年の田村君は生徒会の皆様に失礼すぎると思いませんか? 注意が必要です」
高城君だけが懲罰部屋に入れられて、田村は野放しだ。
その上、生徒会の面々に気に入られて、あの特等席で一緒にランチを食べてるなんて許せない。
親衛隊達だって同じ気持ちだろ。
制裁は生徒会親衛隊の特権だ。煽ってみよう。
「書記様が穏やかに話せる相手ができるのは好ましい。西園寺様の親衛隊としては田村君を歓迎するよ」
「会計様はゲテモノを面白がってるだけ。僕らはノータッチだ」
「副会長様の許可なく行動すれば、僕達は二度と許されない。加賀美様から指示があれば注意することにする。今は問題はない」
意外にも田村に好意的だ。
けど生徒会長親衛隊の隊長だけは苦い顔をしてる。
「今回は直接暴力的な行動を取った高城君にだけ懲罰部屋で反省してもらう。君も以後、気をつけるように」
「はい」
これで終わり? 甘いよ。
親衛隊の会議室を出て、僕は生徒会長親衛隊の隊長を呼び止めた。
「少しお話いいですか?」
「いいけど」
僕は知っている。
こいつは一度、生徒会長と寝たことがあるんだ。
でも一度だけ。
会長は誰にも本気にならない。セフレも作らない。
ただ、戯れに寝るだけだ。
だから誰も会長を本気で好きにならないよう努力してる。
でも隊長は、いつだって会長の一番になりたがっていた。
「田村君のファーストキスは生徒会長だそうです。ウブで平凡で家庭的、それがあの田村の手なんですよ。ああやって高城君のことも誘惑したんです。田村はずるい。あなたとは大違いだ」
「何が言いたい」
「僕もあなたも一途ってところが一緒でしょ?」
隊長は疑わし気に僕を見ている。
確かに僕は千石先輩から高城君に乗り換えたけどね。
「そして、生徒会長親衛隊は他の親衛隊に比べて、隊長の特権が大きい」
これは本当。
生徒会長自身が親衛隊に無関心で放置してるってのもあるけど。
他の親衛隊に比べて好き勝手にしていた。
「いいんですか? あんな平凡にでしゃばられても……」
「大徳寺様の気まぐれだ」
「今までにない気まぐれだ。長い気まぐれになるかもしれないですよ」
「……どうしろと言うんだ?」
のってきた。
僕は笑いを堪えながら、ある作戦を話して聞かせた。
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